資金繰りに苦しんだ従兄弟たち

結果的に従兄弟たちは3人兄弟でお金を出し合って伯父を施設に入居させ、伯父の相続が発生した時に各自が立て替えた分を回収したと聞きました。幸い、伯父は公務員だったのでそれなりの年金を受け取っていて、施設の日常的な費用は自分の年金から賄えていたそうです。

従兄弟の中でも末っ子の和馬は同い年で、子どもの頃から親しくしていました。伯父の葬儀や法要の他にも個人的に飲みに行くなど顔を合わせる機会があり、その際、「あの時は住宅ローンの返済もあったし、上の子が高校受験で下の子が中学受験と何かと物入りの時期だったからきつかった。上の兄貴が多めに出してくれたから良かったけど」と話してくれました。

父が抱えていた不安…MCI疑いが引き起こした変化

私の父は伯父より10歳下ですが、父親に当たる私の祖父と伯父がともにアルツハイマー型認知症になって亡くなったことで、自分もいずれそうなるのではないかと不安を抱いているようでした。特に祖父の方は徘徊や多動、異食などの症状が顕著で、自宅で介護に当たっていた伯母は疲弊しきっていました。それもあって、父は一人息子の私や妻に迷惑がかかるのを気にしているのだと思います。晩年の祖父や伯父の姿を知る私には、父の不安や焦りも何となく分かります。

そんな父が昨年受診した脳ドックを機にアルツハイマー型認知症の前段階であるMCI(軽度認知障害)の疑いがあると言われた時は、もう、上を下への大騒ぎでした。

仕事中の私の携帯に暗い声で電話をかけてきたので、私はてっきり、他のもっと重篤な病気が発見されたのかと心配になったくらいです。しかし、父にとってはMCIという言葉の方が、がんや糖尿病と同等か、それ以上に恐怖心をかき立てるものだったのでしょう。

結果的にはMCIではなかったのですが、それを機にめっきり口数が減り、家に籠もりがちになりました。