投資信託を選ぶ際、各販売会社が自社のサイトで公開している「売れ筋ランキング」を確認する個人投資家は多い。そのランキングを定点観測して、トレンドを追う連載。今回は、楽天証券のデータをもとに解説。
楽天証券の投信売れ筋ランキングの2026年2月のトップ2は前月と同じでトップに「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(愛称:オルカン)、第2位に「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」だった。第3位には前月第4位だった「楽天・プラス・オールカントリー株式インデックス・ファンド」が上がり、前月第3位だった「楽天・プラス・S&P500インデックス・ファンド」は第5位に後退。第4位には前月第6位から「楽天日本株4.3倍ブル」が上がった。「全世界株式(オール・カントリー)」への支持が強まり、「S&P500」が減速した。また、トップ10圏外から「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)」が第9位に、「WCM 世界成長株厳選ファンド(予想分配金提示型)」が第10位にランクインした。一方、「楽天・プラス・NASDAQ100インデックス・ファンド」、「三菱UFJ純金ファンド」はトップ10から落ちた。
※楽天証券サイト「投資信託」「全銘柄ランキング(買付金額)」に基づいて編集部作成。期間:2026年2月1日~2月28日。
https://www.rakuten-sec.co.jp/web/fund/find/ranking/ranking.html?term=m&target=all&age=all&x=115&y=13&type=500001&freqid=3&tget=1&group=all
アクティブファンドが売れるのはどんな時?
楽天証券の売れ筋ランキングのトップ10は、1月はインデックスファンドで占められていたが、2月はアクティブファンドが2ファンドランクインした。インベスコ・アセット・マネジメントが設定する「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)」と朝日ライフアセットマネジメントが設定する「WCM 世界成長株厳選ファンド(予想分配金提示型)」の2本が現在の人気アクティブファンドだが、その2本がランクインしていたのは2025年11月のことだから、3カ月ぶりに投資家の関心がアクティブファンドにも向いたということになる。
2025年11月は「S&P500」が小動きに終始する中で、「マグニフィセント・セブン(M7)」といわれる超大型ハイテク株が下落し、これまでは「M7」に対してパフォーマンスが大幅に劣後していることから「S&P493」とやゆされてきた「M7以外」に物色のホコ先が向かい、ヘルスケアやマテリアルズ(素材)といった、不人気だったセクターの株価が上昇した。かねてより「M7」に集中した人気、その割高さに警戒感があっただけに、「M7以外」への市場ローテーションが始まったという見方が強まった。
また、2025年11月頃を境として「M7」の個々の動きにバラつきが目立ち始め、かつ、M7平均が市場並みか市場を下回るような動きに転じてきた。米国で著名なアナリストの1人であり、2010年以来15年間にわたって情報テクノロジーや通信セクターへのオーバーウエイトを主張してきたエド・ヤルデニ氏(ヤルデニ・リサーチ)のように、2026年以降はM7以外の「S&P493」を「印象的な493銘柄(Impressive493)」として今後の活躍期待を強調するような例も出てきている。
そして、2026年2月の米国株式市場では「M7」が大きく下落。「M7」に投資するETF「MAGS」は月間でマイナス7.3%と2025年3月(マイナス10.1%)以来の大幅な下落となった。また、「M7」内のパフォーマンス格差が目立った。AIインフラの構築に貢献するエヌビディアは下落率が軽微に抑えられたものの、AIに対して巨額な投資を実行しているアルファベット、アマゾン、メタなどは2ケタの大幅な下落になるなど銘柄間の格差が大きくなっている。
これまでの「M7」人気で抜群のパフォーマンスを見せていた大和アセットマネジメントの「iFreeNEXT FANG+インデックス」が順位を大きく下げ、「M7」の株価推移の影響が大きな「S&P500」に連動するインデックスファンドがやや順位を下げる中で、より幅広く分散投資している「全世界株式(オール・カントリー)」連動型インデックスファンドが順位を保っているのは、「M7」の株価がこれまでのような上昇トレンドではなくなってきていることの影響が出ていると考えられる。しかも、「M7」の中でも株価推移に格差が出ているため、従来型の時価総額の大きな銘柄で構成されたインデックスファンドではなく、個々の企業を調査した上で選別するアクティブファンドに関心が高まっている。アクティブファンドは、市場全般がリスクオフになったとしても収益を確保できるチャンスがあるため、市場の先行きに不安要素が入り始めた時に人気化しやすい。

