セカンダリー投資の魅力 魅力的な案件に広範な分散が可能

――PEのプライマリー投資とセカンダリー投資の違いについて、簡単に解説していただけますか。

まず、PEとは何かを簡単におさらいすると、上場していない企業に投資するファンドのことです。上場株と違い、PEファンドは長期投資の手段です。投資家は資本を委託し、運用会社は時間をかけて投資を行い、その後投資先企業売却時に資本と利益を還元します。

プライマリー投資では、投資家は新規ファンドの設立時に資金を委託します。運用会社は最初の数年間でポートフォリオを構築し、案件が成立するたびにキャピタルコールを実施します。ファンドの運用期間は通常10年以上で、早期にキャッシュ化する手段はセカンダリー市場での売却に限られることが一般的です。キャピタルコールのスケジュールは計画に沿って進みますが、正確な時期や金額は変動する可能性があります。

セカンダリー投資では、既存ファンドの運用期間の途中段階で、売却を希望する投資家からそのファンドの持分を購入します。運用会社や多くの投資先企業についてより明確な情報を得ることが可能で、残存保有期間は新規のプライマリーファンドよりも短い場合が多いです。

簡単に言うと、プライマリー投資はファンドの設立当初からエクスポージャーを得られるのに対し、セカンダリー投資では、資産の見通しが明確で分配までの期間が短く、より熟成した妙味のあるポートフォリオに参入できるということです。多くの投資家は分散投資、可視性、タイミングのバランスを得るために、両方の手法を活用しています。

 

――セカンダリー投資の具体的な特性や強みについて教えてください。

まず、非常に広範な分散が実現できることです。例えばコラー・キャピタルのPEセカンダリーの旗艦戦略では、ポートフォリオに含まれる社数は実に1000社超、GPは60社超という、プライマリーでは考えられない水準の分散が実現されています。PCでも同様に80社程度のGPが含まれ、ローンの件数は8000本以上にのぼります。

加えて、ビンテージを遡って投資できるという点もセカンダリーならではの特徴です。優れた成績を残した過去のビンテージのファンドを購入して投資できるのは大きな魅力ですし、このビンテージ分散がパフォーマンスの安定性を支える要因でもあります。プライベートアセットでは一般的なビンテージ分散を実現しようとするのは手間と労力が伴いますが、その点でもセカンダリーに投資する意義は大きいといえます。

さらに、ディスカウントで投資できる点も重要です。市場規模拡大に伴ってさまざまな理由からGP、LPの売却ニーズは旺盛であり、売り手は流動性を求めているため、彼らのファンド持分を割引価格で買い取ることが可能な場合もよくあります。

 

――コラー・キャピタルでは個人投資家向けには主にオープンエンド型でファンドを提供されているとのことですが、セカンダリーとの相性について教えてください。

セカンダリーとオープンエンドは実は非常に相性が良いと考えています。セカンダリーファンドでは投資期間の半分以上が過ぎたプライマリーファンドへの出資分を主に購入するため、コラー・キャピタルはフルインベストメント状態のものにしか投資しません。そのためJカーブ効果は低いです。

また、残存期間が2年程度のファンドに投資するため、年間平均で20〜30%程度がイグジットしていきます。そのため、投資家からの解約にもその分で対応でき、多額のキャッシュを事前に保有しておく必要がありません。特にプライベートクレジットについては時間の経過とともにLTVが低下するため、リスクも下がると想定されます。

セカンダリーファンドは中身を精査した上で組み入れた資産で構成される──原資産の分散化は、リターンをより平滑化し、富裕層投資家にとって理解しやすいパターンへと導く効果を持ちます。

 

――案件の調達や精査の体制についてもお聞かせください。

調達という観点では、この業界で長年構築してきたリレーションが生きており、まずはコラー・キャピタルに相談を持ち掛けてくれるケースが多くあります。セカンダリーを専門とするコラーはプライマリーファンドのGPにとって直接的なライバルではなく、むしろ信頼のおけるビジネスパートナーとして認識されているからでしょう。もちろん、新興のGPに関してもカバレッジには入っていますから、本当に多くの案件から厳選して投資できるのです。

案件の精査にあたっては、コラー・キャピタルと取引するGPから提供されたポートフォリオの中の投資先企業やローンの状況を正確に把握する必要があります。

また、自社のAIデータサイエンス・グループを持っていることが特徴の一つです。5名のデータサイエンティストが在籍しており、30年かけて構築したGPとファンドに関する膨大なデータベースを活用し、案件の分析と引受審査を行うことが可能です。

こうした厳正な審査体制の結果、先に進める決断に至るのは全取引の約1%にすぎません。プライマリー市場が成長しているからこそ売却ニーズも増え、セカンダリー市場も拡大するという好循環が続いています。

 

――コラー・キャピタルは2026年1月のスウェーデンの運用会社EQTグループに買収されましたが、この件について運用への影響などはありますか。

この取引により、コラー・キャピタルはより活発に急成長する市場において持続的な成長を実現する基盤を築くことが可能となります。EQT傘下に入っても、コラーの運用およびオリジネーションにおけるプロセスの独立性はしっかり担保するという発表がなされました。

 

――今後の日本での展開と、投資家へのメッセージをお聞かせください。

上場株式市場はここ数年で顕著な上昇を見せており、今後はむしろ下落局面に対して備えが意識されるでしょう。そのため、株式との相関が低い資産をどう組み合わせていくかが非常に重要になってきています。

そうした環境下で、プライベートアセットなどの新たな投資機会がさまざまな投資家に広がってきていることは非常に喜ばしいことです。その中でも、PEやPCのセカンダリーは有力な選択肢になると自負しています。

 

 

用語解説

セカンダリー投資 中古市場でファンド持分を買い取る手法

プライマリー投資 新規組成時に参加する手法

プライベートエクイティ 非上場株式への投資

プライベートクレジット 銀行以外のファンドを通じた企業融資

クローズドエンド 期限付きの閉じた運用形態

オープンエンド 随時購入・解約できる永続型

Jカーブ効果 投資初期にはコスト負担などが先行して収益がマイナスになるが、時間経過に伴い収益がプラスに転じること

キャピタルコール 投資実行に資金を段階的に払い込むこと

ビンテージ(年次) ワインになぞらえた組成年度

LP(リミテッド・パートナー) 出資する投資家側

GP(ジェネラル・パートナー) 運用会社側

LTV 担保価値に対して、どの程度の借入をしているかを表す指標