価格ではなく「設計」を考える局面にある

近年、個人投資家向けにプライベートアセットへのアクセスを提供する商品が増えてきました。

機関投資家中心だった非流動資産がより広い投資家層に開かれつつあること自体は、市場の成熟という観点から見て前向きな動きと言えるでしょう。

一方で、海外では個人向けプライベートクレジットファンドにおける資金流出の増加や解約停止といった事例も報じられています。価格や信用状況の変化が議論の中心になりがちですが、今回の出来事を単なる市況の変動として捉えるだけでは十分ではありません。

むしろ、非流動資産に流動性を付与するという設計そのものが、どのような前提の上に成り立っているのかを問い直す局面にあるのではないでしょうか。

プライベートクレジットの特性

プライベートクレジットは本来、長期資金を前提とした非流動資産です。価格は日々の市場取引によって形成されるものではなく、一定期間ごとの評価に基づいて算出されます。

そのため、定期的な解約性を付与する設計を採る場合には、評価価格と資金の出入りとの間にどのような整合性を持たせるのかという問題が生じます。

通常時においては、この構造的な問題は表面化しにくいものです。評価価格と実際の換金可能価格に大きな乖離(かいり)が生じなければ、解約請求も管理可能な範囲に収まります。

しかし、市場環境が変化し、投資家心理が揺らいだ局面では、評価と流動性の前提が同時に試されることになります。