2月13日の「NISAの日」を記念して企画された「投資信託で長期投資!エッセイ・コンクール」。全国から数多くの力作が寄せられた中から優秀賞に輝いたニックネームC.Uさんの体験談をお届けする。

佳作:投資信託はプロジェクトチーム

投資信託を始めたきっかけは、将来に対する漠然とした不安からだった。私は企業の正社員という働き方をしたことがなかった。そのため年金をもらえたとしても、一般よりも少ない。この不安がとても大きく、投資信託が提示する数字だけを頼りに、やみくもに始めた。しかし、投資信託はすぐに大きな利益がもらたされるわけではないし、リスクがないわけでもないことに不安が残った。

そのうち、だんだんと個別株にも興味が湧いてきた。やがて自分でトレードをするようになり、経済や社会の動向に興味を持つようになった。まずは少ない資金で始めたため、利益が出てもわずかだった。始めた当初、波に乗っているある個別銘柄を見ていた。その銘柄は日を追うごとに値が上昇し、1日で1000円以上、動くこともあった。とても魅力的に見えたし、今買えば利益が得られることは間違いないのではないか、とさえ思った。しかし決算が出た直後、その値は急激に下がり始め、気が付けばこれまでの上昇など嘘だったかのように下落した。もし買っていたら、と思うと血が凍るような思いだ。

この時、とても冷酷な人事評価を見たように感じた。時代の流れに合ったものや人が過度に期待され、期待したほどの成果が見られなければ、あっさりと切り捨てられる。このようにシビアな状況は精神的にも辛いものがあった。しかし、この経験も辛いことばかりではなく、個別の銘柄について詳しくなり、株投資の特徴を知ることができたことは良いことだと思っている。

こうした学びを得た上で投資信託の内容を見返してみると、とても理にかなったものであることが分かってきた。投資信託を始めたころは、内容に関心はまったくなかった。それゆえに、利益を感じづらいことにモヤモヤとした感情を抱いていた。しかし、時代の流れに合わせた銘柄を含みつつも、リスクを避けるための銘柄もうまく組み合わせられているということが分かった今では、投資信託がまるでひとつのプロジェクトチームのように映り、確かな信頼へと変わった。

プロジェクトチームをまとめているリーダーは、ファンドマネジャーであり、個人プレーではカバーできない部分を他の者で補い合うという論理と知性を感じられた。個別株の売買は独りよがりで孤独な戦いであったが、投資信託ではプロやチームの存在を感じることができ、安心を得られた。それどころか、子どもにさまざまな習い事や経験を積ませて、将来有望な人物になるために投資をしている親のような気持ちでもある。

そう思った時、最初は無機質だった投資信託と自分との関係性が、血の通った安心と期待を含んだ関係性へと変化し、多少の不調もともに歩むことができるようになった。今では将来への不安に対する真の心のよりどころを得ることができたような気がしている。