2月13日の「NISAの日」を記念して企画された「投資信託で長期投資!エッセイ・コンクール」。全国から数多くの力作が寄せられた中から優秀賞に輝いたニックネームM.Sさんの体験談をお届けする。
佳作:「お金は使うためにある」
「お金は使うためにあるのだ。だから、働いて稼ぎなさい」この言葉は、明治生まれの親父の口癖でした。高校を卒業して実家を離れて、東京の学生時代までは会うたびに聞かされていました。ところが私が社会人となり給与所得者になると、こうした話題はなくなりました。バブルの時代、私は親父の言葉のように「使うために、お金はある」という哲学から、預金もせずに、入ってきた給与はそのまま使ってしまうようなヤンチャなところがありました。
しかし、これではやはり将来が不安という意識を持ち、積立貯金を始めました。その後は貯蓄額がゼロだったころから比べると、多少は通帳の残高が増えるようになっていきました。
こうした時代に、北海道拓殖銀行の破綻など大きな社会的な出来事がありました。1996年11月17日、当時の橋本内閣が2001年までに日本版ビッグバン(金融システム改革)を遂行すると宣言したのです。私の誕生日と同じ11月17日であったため強く関心を持ったのが、私が資産運用を考えるきっかけとなりました。
そのころ、「3つの卵の話」を知る機会がありました。すべての卵を同じ一つの籠に入れておくと、もしその籠を落としてしまえば、すべての卵が割れてしまいます。安心のためには、卵を3つの籠に分けて入れておきなさいという教えでした。私は、素直に納得しました。いま使うお金は普通預金に、旅行資金などの目的を持ったお金は必要な時のために定期預金に入金しました。
そして困ったのが、使う予定がなくても将来のためにお金を蓄えておきたいと思ったことでした。そこで収益性が多少は期待できる投資信託で運用しようかと考えました。しかし、どこに相談したらよいかが分かりません。とりあえず住まいの近くの信託銀行に行くと、担当の方が分かりやすく説明をしてくれました。その時に私が驚いたのは、投資信託の種類を「商品」と呼んでいることでした。お金を貯めることではなく、「商品を購入する」ということが投資信託であるのだ、と私は目覚めました。
それならばと、生活用品などを購入するのと同じように自分に合った商品、自分にとって魅力的であると思える商品を購入することにしました。卵に例えられたお金は、少しずつ3つの籠に入れていきました。私にとっての3つ目の籠である投資信託も時々購入していき、結果的に増やすことができました。
70代後半になった現在でも、その投資信託は整理しつつ、持ち続けています。4種類の商品が手元にあります。セカンドライフのためにと購入した投資信託の商品は購入時から2割もの収益が獲得できています。「お金は使うためにある」との親父の言葉。どんな時にも、「使える状態にある」ことが大切であると、親父は私に教えてくれたのでした。「ありがたい」と、年金暮らしになって自覚している次第です。
