年齢階級別の所得再分配状況

所得再分配の状況を当初所得階級別に見ると、概ね当初所得が低い階級ほど再分配係数(当初所得に対する再分配所得の増加割合)が大きくなっています。

世帯主の年齢階級別所得再分配状況では、平均当初所得が最も高いのは 50~54 歳(779万円)で、40~44歳(693万円)が続きます。平均再分配所得でも50~54歳(624万円)が最も高くなっています。ただし、再分配額は現役世代である65歳未満ではマイナスとなり、65~69歳でプラスに転じ、75歳以上では大幅なプラスとなります。再分配額の大きい高齢者世帯(65歳以上の者のみで構成するか、又はこれに18歳未満の未婚の者が加わった世帯)では、再分配額の約7割が年金、約2割が医療、約1割が介護となっています。

【世帯主の年齢階層別所得再分配状況】

 
(出所)厚生労働省「令和5年所得再分配調査報告書」よりアセットマネジメントOne作成
 

世帯数の累積比率と当初所得額の累積比率から算出されたジニ係数(所得格差係数)は過去最大の0.5855(前回比+0.0155ポイント)となり格差拡大が明らかとなりました。高齢化が進んだ影響で当初所得が低い世帯が増えていることが、近年ジニ係数が上昇傾向となっている要因です。一方で、再分配所得の累積比率から算出されたジニ係数は0.3825(同+0.0012ポイント)とほぼ横ばいで推移しており、所得再分配による改善度は34.7%(同+1.6ポイント)と社会保障と税の再分配機能に一定の効果があることが分かりました。

ジニ係数の改善度のうち、社会保障によるものは31.6%、税による改善度は4.4%と、社会保障による改善の影響が大きく出ています。

※ジニ係数の改善度(%)=(当初所得のジニ係数-再分配所得のジニ係数)÷当初所得のジニ係数×100

【所得再分配によるジニ係数の変化】

 
(出所)厚生労働省「令和5年所得再分配調査報告書」よりアセットマネジメントOne作成
 

今回は、社会保障統計から所得再分配について考察してみましたが、公的年金も医療保険も、低所得の高齢者世帯を現役世代が支える構図になっていることがデータで確認できました。再分配額の大部分が社会保障による影響となっており、将来的に高齢化率は上昇を続けていくことが予想されるなか、再分配機能をどこまで効かせるかが今後の社会保障政策のカギになると筆者は考えています。

(執筆 : 花村 泰廣)

【脚注】
本調査における「ジニ係数」の算出方法について
1. 世帯(又は世帯員)を所得の低い順に並べて、世帯数(又は人数)の累積比率を横軸に、所得額の累積比率を縦軸にとってローレンツ曲線を書く。
2. 全世帯の所得が同じ完全に平等な状態であれば、ローレンツ曲線は均等分布線となる。逆に、全ての所得を一つの世帯が独占する不平等な状態だと、ローレンツ曲線はABC線となる。
3. ジニ係数=ローレンツ曲線と均等分布線とで囲まれる弓形の面積(α)÷均等分布線より下の三角形ABCの面積

(出所)厚生労働省「令和5年所得再分配調査報告書」よりアセットマネジメントOne作成
 

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