為替相場の動向

さて、為替市場では依然として円が弱いままです。

今週はグリーンランド領有をめぐる欧米の対立を嫌気し、ドル安が進みました。結果的にはトランプ大統領がグリーンランドを巡る武力行使や関税賦課の可能性を否定し、事態は収束へと向かっていますがそれでもドルは冴えません。ただ、今週の円はそのドルよりも小幅に弱かったことになります(8ページ)。

 

また、実質実効為替レートで見ると円は史上最安値圏で推移しています。実質実効為替レートとは、複数の通貨に対する円の値動きを総合的に示したものです。また、物価変動やインフレ率の内外格差も勘案されており、過去との比較も可能です。こうした円安の背景は、依然としてマイナス圏に位置する実質金利(=名目金利-インフレ率)です(9ページ)。

 

この為、円の反転に必要な要素は、何よりもこの実質金利の上昇です。また、中立金利の再評価(引き上げ)がなされた場合も、市場には潜在的な利上げの伸びしろが広がったと映り、円安期待が和らぐ可能性があります。

ただ、今日の会見において植田総裁は見直しをしても「そんなには上がらない」と発言しました。もう一つはタームプレミアムの拡大による長期金利の上昇に歯止めがかかることです。このためには政府が引き続き財政健全化へのコミットを示すことが必要でしょう。タームプレミアムの拡大に歯止めがかかった上での長期金利上昇であれば、素直に円高に波及するはずです(10ページ)。

ここで投機筋の円のポジションを確認します。1月6日時点では約9千枚の円ロングでしたが、13日には約4.5万枚の円ショートに変化しました。この間の衆議解散総選挙報道を受け、円安期待が一気に高まった証左です。市場が積極財政を掲げる高市政権の政策がより進みやすくなることを想定したとみられます。ただ、過去と比較して円ショートの規模が大きいわけではありません。仮に円買い介入があった場合も、その効果はやや限られたものにとどまる可能性があります(11ページ)。