「合理的な判断」が裏目に出る?売買のタイミングの難しさ
「何もしないのが一番」というのは、口で言うほど簡単ではありません。人は「合理的に考えて」売買をしてしまいがちですが、それが裏目に出ることが多々あります。
例えば、ロシアがウクライナに侵攻した際、ロシアでの売上が大きいJT(日本たばこ産業)株において、「現地資産が接収されるリスクがある」と合理的に考えて売却した投資家が多くいました。しかし、結果的に資産接収は起こらず、株価はそこから大きく上昇しました。リスクを懸念して売った時ほど、皮肉にもその後の結果が良くないということは多々あるのです。
初心者が「やばそうだ」と感じて動く時、それはすでに市場の恐怖に飲まれている可能性が高いと言えます。
損切りが必要な「本当にダメな時」の判断基準
もちろん、「死ぬまで持ち続ければ良い」と盲信するのは危険です。中には本当に手放さなければならない「ダメな時」もあります。それは、企業の業績が恒常的に下降線をたどり、倒産の危機が迫っているような場合です。
かつての日本航空(JAL)が良い例です。経営破綻して国有化される前に株を持っていた人は、持ち続けても資産がゼロになってしまいました。こうした「外れを引いた時の致命傷」を避けるためには、やはり1つの銘柄に固執せず、分散させておくことが重要です。1銘柄がダメになっても、他の銘柄がカバーして全体を薄めてくれるからです。
資産を爆発的に増やす「複利効果」と配当再投資の威力
投資の成功確率をさらに高める武器が、「配当金」と「複利効果」です。
株を持ち続けていると、定期的に配当金が入ってきます。この配当金が積み上がっていくことで、投資の収益はどんどんプラスに傾きやすくなり、結果として損をしにくくなります。さらに、受け取った配当金を再び株に投資する「配当再投資」を行えば、複利の効果が爆発的に発揮されます。
50年間の米国市場(S&P 500)のデータを見ると、その差は歴然です。
債券投資(再投資あり):ゆるやかに上昇。
株(指数のみ):大きく上昇。
株(配当再投資あり):他の追随を許さないほど飛び抜けて上昇。
50年という長いスパンで見ると、配当を再投資したケースとそうでないケースでは、最終的な資産額に数倍の差が開くこともあります。初心者のうちは、証券会社の設定で「配当金を自動で再投資するコース」を選んでおくことが、成功への近道と言えるでしょう。
初心者が今日からできること
今回の内容をまとめると、投資初心者が致命傷を避け、着実にお金を増やすためのルールは非常にシンプルです。
①分散投資:インデックス投資や、複数の優良企業の株を持つ。
②長期保有:短期的な上げ下げに一喜一憂せず、とにかく「やめない」。
③放置の美学:投資していることを忘れるくらいがちょうど良い。
④再投資:複利を味方につける。
「マイナスにならない魔法」はありませんが、「長く持てば持つほどプラスになる確率を高める」ことは誰にでも可能です。
次回は、インデックス投資から一歩進んで、「自分で10個の銘柄を選ぶなら、どのような基準で選び、どう組み合わせれば良いのか」という、より実践的なポートフォリオ構築術についてお話しします。
共に学び、腰を据えた投資を続けていきましょう。
