「物価高に賃金が追いつかない」状況は解消へ

――2026年の日本経済の見通しは?

2026年の日本経済は、長らく続いた「物価高に賃金が追いつかない」状況が解消に向かい、内需主導の緩やかな回復へ転換する節目の年となる見通し。

1. 経済成長と実質賃金のプラス転換

実質GDP成長率は1%弱の推移を予想。最大の注目点は、2026年春闘でも「5%水準」の賃上げが維持され、消費者物価指数の伸びが2%を下回ることで、実質賃金が安定的にプラスとなること。これにより家計の購買力が回復し、個人消費が景気をけん引する「好循環」が現実味を帯びる。

2. 高市政権の「責任ある積極財政」

2025年に発足した高市政権が、危機管理投資や減税を含む「責任ある積極財政」を本格化させる。この財政拡大は景気を下支えする一方、長期金利の押し上げ要因にもなる。市場は「財政規律と成長」のバランスを注視しており、国債市場の信認維持が株価や円相場の安定に不可欠となる。

3. 追加利上げと金融市場の正常化

日銀は、賃金と物価の好循環を確認し、政策金利を1.0%程度まで段階的に引き上げる公算が大きい。

為替:FRBの利下げと相まって日米実質金利差が縮小し、1ドル=140円台に向けた円安修正が進むと見られる。

メインシナリオは緩やかな円高、リスクシナリオは再インフレと「悪い円安」

――2026年のマーケット展望は?

2026年のマーケットは、米国の「高金利・インフレ」の行方と、主要国間での「政策の乖離」が最大の焦点だ。

1. メインシナリオ:緩やかな円高

世界経済が底堅さを保つ中、日米の実質金利差縮小が緩やかに進むシナリオ。

金利:FRBはインフレの粘着性を警戒しつつ、年1〜2回程度の利下げに留め、政策金利を3%台後半で維持。一方、日銀は1.0%程度まで追加利上げを行い、日米の実質金利差は徐々に縮小。

為替:実質金利差縮小を背景に、ドル円は1ドル=140円台へと円安修正が進む。ただし、米国の景気が強ければドル買い圧力も根強く、急速な円高には至らない。

2. リスクシナリオ:再インフレと「悪い円安」

トランプ政権の関税や移民抑制がインフレを再燃させるシナリオ。

米国の「ノーランディング」:物価が再び上昇し、FRBが利下げ停止や再利上げを迫られる場合、米長期金利が5%を突破。ドル円は再び160円を超える円安に振れるリスクがある。

地政学・財政リスク: 中東や東アジアの緊張、あるいは各国の巨額の財政赤字が嫌気され、金利が急騰する事態にも警戒が必要。