インデックス運用におけるシステムの重要性
――その先物の許容範囲というのは、連動する各指数とのトラッキングエラー(連動乖離)を意味しているのですか。
樫村 基本的にはそうです。許容できるトラッキングエラーに収まるかどうか、過去のデータの分析によって、先物の比率はファンドごとに決めています。
荻野 インデックスファンドにおいて、指数とのトラッキングエラーを最小化することは必須の責務です。それを実現するためには、特に、インデックス運用を安定的に行える環境構築と、それを使いこなす取引に関する知識や経験が重要になります。
小笠原 環境構築という点では、そもそもインデックス運用は数千にものぼる指数構成銘柄の膨大なデータを扱うため、システム基盤が盤石でないと成り立たない、という側面があります。MSCIなど指数を算出している指数提供会社から提供される情報を組み合わせて、ベンチマークの再現や、数千銘柄に上るポートフォリオの管理といったことを、国、業種、個別銘柄ごとにベンチマークとの乖離状況を正確に把握しながら、維持することが必要です。そのためのインフラ基盤として当社では独自開発のベンチマークの管理システム、ポートフォリオ管理システム、データベースを整備しています。
業務で使うシステムは、部内のメンバーが保守・メンテナンスを行っており、メンバー全員に一定水準のプログラミングスキルが求められるのです。
荻野 ファンドの設定や解約に応じて、ときには数百の銘柄を一度に売買することもあります。その発注に使用するツールも独自開発しています。そうしたツールを使ってファンドとベンチマークの乖離状況を正確に把握することで、指数へのトラック精度を高めています。
――株式の発注について具体的に聞きたいのですが、オルカンのホームページを見ると、構成銘柄は2500社と書いてあります。一般の個人投資家だと、2500銘柄すべてに投資していると思っている人も多いようですが、実際はどうなんですか?
樫村 はい、ファンドではほぼ全ての銘柄に投資しています。ただし、日々の設定解約に対応するために株式を購入する場合においては、資産運用の世界では「最適化法」と呼ばれている手法を用いて売買する銘柄を決めています。これは、コストコントロールの観点から、2500銘柄全ての銘柄を購入するのではなく、銘柄数を絞ってベンチマークとの連動性を維持するやり方です。具体的には、MSCI社が提供している定量的なシステムを使って、売買の内容を作成しています。その売買案をベースにして、実際の注文を出していくことになります。
――システマティックな取引が基本としつつも、ファンドマネジャーの経験に基づく裁量が反映される取引もあるのでしょうか?
樫村 そうですね。システムが7割ぐらいで、人が3割ぐらいをチェックするというイメージです。イレギュラーなこともたくさんあるので、そこはファンドマネジャーがチェックして手を入れる必要があります。運用はシステムと人の両輪で回っているといえます。
