バフェット氏が米国に抱く「揺るぎない信頼感」

また、「S&P500を買え」というバフェット氏のアドバイスは、氏が米国に対して抱いている、揺るぎない信頼の現れと見ることもできます。だから、年次のレターには必ずといって良いほど、「米国の前途は洋々である」と書かれています。

それは、米国経済が持つダイナミズムに対する信頼感、ととらえても良いのかも知れません。

こんな話があります。

バフェット氏は、資産のうち99%超を慈善団体に寄付するとしました。バフェット氏の妻、親族に相続されるのは、全財産のうち1%程度に過ぎません。もちろん金額からすれば、たとえ1%でも相当な額になるのですが、この件についてバフェット氏は、「莫大な財産を相続させることに興味はない。なぜならそれは米国的ではないからだ」と言っています。金持ちの子供が、親の遺産を引き継いで金持ちになるのは米国的ではない、と言いたいのでしょう。

庶民であっても、自らの才覚で莫大な資産を築くことができる国、それこそが米国の持つダイナミズムであり、アメリカンドリームであることを、バフェット氏は自らの人生で体現してきました。

だからこそ、身内への相続は1%なのではないでしょうか。ダイナミズムに溢れた国に生まれたのだから、親の財産に頼らず、自分の力で成功しなさいと言っているように聞こえるのは、私の考えすぎでしょうか。

 

農林中金バリューインベストメンツ 常務取締役兼最高投資責任者(CIO)
奥野一成氏

京都大学法学部卒。ロンドンビジネススクール ファイナンス学修士(Master in Finance)修了。1992年日本長期信用銀行入行。長銀証券、UBS証券を経て、2003年に農林中央金庫入庫。2014年から現職。投資信託「おおぶねシリーズ」など著名ファンドを運用。著書に『ビジネスエリートになるための 投資家の思考法』『ビジネスエリートになるための 教養としての投資』『先生、お金持ちになるにはどうしたらいいですか?』(いずれもダイヤモンド社)、『マンガでわかる お金を増やす思考法』(池田書店)、近著に『武器としての投資 AI時代を生き抜く資産とキャリアの築き方』(KADOKAWA)。