投資信託の保有額、主流は50万円未満、平均は約350万円

調査結果によると、個人投資家が持っている投資信託の時価評価額は「50万円未満」が24.9%と最も高くなっている。

投資信託の時価評価額(投資信託保有者)

投資信託の時価評価額(投資信託保有者)を表した図表
 
出所:「個人投資家の証券投資に関する意識調査報告書」(日本証券業協会)
 

投資信託保有額ランキング

1位 50万円未満 24.9%
2位 100万~300万円未満 22.1%
3位 50万~100万円未満 16.2%
4位 1000万円以上 14.9%
5位 300万~500万円未満 12.0%
6位 500万~1000万円未満 9.8%

出所:「個人投資家の証券投資に関する意識調査報告書」(日本証券業協会)よりFinasee編集部作成

次いで「100万〜300万円未満」が22.1%、「50万〜100万円未満」が16.2%。つまり保有額300万円未満の投資家が全体の6割以上(63.2%)を占めている。

この結果に、比較的少ないという印象を受ける人もいるかもしれない。可能性の一つとしては、2024年1月開始の新NISAをきっかけに投資信託を始めた層の影響も考えられそうだ。

例えば、新NISA開始時からつみたて投資枠で月1万円を積み立て続けたとすると、調査時の25年4月には投資額ベース(簿価)で16万円。投資を始めてから16カ月と短期間であり、時価評価でも大きな乖離はないだろう。同様につみたて投資枠を月額上限(10万円)まで活用した場合でも、時価で160万円前後であろう。新NISAをきっかけに投資を開始した人のケースを考慮すると、十分に想定できる結果ともいえそうだ。

一方、「1000万円以上」の高額保有者も14.9%いるため二極化の傾向も見られる。なお調査による推計では保有額の平均は348.2万円となっている。前回(24年)の調査では398.3万円であったため、約50万円減少している。減少の背景には調査時期(25年4月15日~19日)が影響していると見られる。同期間にトランプ関税の発動による金融市場の変動があったためだ。

続く株式型の人気と債券型の減少、選ばれる投資先は二極化?

保有額50万円未満の人が約4分の1という結果からは投資の敷居が下がり、身近になった一面がうかがえる。資金の行き先は明確だ。外国株式型の投資信託が人気を集め、安定型の債券型投信は支持を落としている。投資家が「増やすこと」に集中している証左だろう。しかし国内では利上げ、海外は利下げという流れが従来の「株重視」路線をどう変えるか。今後の投資先について目を光らせる必要があるだろう。

●後編「コスト、リターン、安定性…「投資信託の選び方」個人投資家のスタンダードとは? “年代別”の傾向が明らかに」にて詳報している。

調査概要 調査名:「個人投資家の証券投資に関する意識調査」 調査主体:日本証券業協会 調査報告書公表:2025年9月 調査実施期間:2025年4月15日~19日 調査対象:日本全国の 18 歳以上の有価証券保有者 5000 人