各販売会社が公開するデータをもとに、編集部独自の分析で投資信託の売れ筋を考察する連載。今回は、ゆうちょ銀行・郵便局のデータをもとに解説。

ゆうちょ銀行・郵便局の売れ筋の2025年9月のトップ2は「iFree S&P500インデックス」、「つみたて先進国株式」だった。7月以来3カ月連続でトップ2にある。第3位は8月と同様に「大和ストックインデックス 225ファンド」で、第4位に「つみたて日本株式(TOPIX)」が上がり、8月は第4位だった「つみたて全世界株式」は第5位に後退した。そして、第6位に3カ月連続で「JP4資産均等バランス」、第7位は8月から「野村世界6資産分散投信(成長コース)」が順位を上げ、「JP4資産バランスファンド 安定成長コース【愛称:ゆうバランス】」は第8位に下がった。上位10銘柄の顔ぶれは変わらず、上位5ファンドはインデックスファンドで5位から10位まではバランスファンドという構成も変わらないが、その中で順位がわずかに入れ替わっている。

株式インデックスでは年初来で優位な国内株

ゆうちょ銀行・郵便局の売れ筋上位を占めるインデックスファンドの値動きを2025年1月から振り返ると、10月24日時点では「大和ストックインデックス 225ファンド」が25.12%上昇でトップ、第2位は「つみたて日本株式(TOPIX)」の19.94%になった。売れ筋ランキングでトップの「iFree S&P500インデックス」は9.70%にとどまり、「つみたて先進国株式」の12.67%、「つみたて全世界株式」の14.28%にも劣っている。9月のランキングで「大和ストックインデックス 225ファンド」の評価が高まったのは、足元のパフォーマンスの強さを反映した動きといえる。

ただ、過去1年間のパフォーマンスでは9月末時点で「iFree S&P500インデックス」14.44%に対して「大和ストックインデックス225ファンド」は、18.23%と上回る成績になっているが、過去3年、過去5年では「iFree S&P500インデックス」が94.16%、196.37%に対し、「大和ストックインデックス 225ファンド」は72.48%、92.75%と、大きく劣っている。特に、過去5年での差は大きい。このパフォーマンスの違いがあるために、投信市場では「S&P500」連動型のインデックスファンドをはじめとした外国株インデックスファンドの人気が根強い。これには株価指数の上昇率のみならず、為替(ドル円)の円安ドル高の影響も大きい。2020年10月末のドル円は1ドル=104.36円だった。それが、2025年9月末には148.07円(東京市場スポット17時時点、日銀の統計データ)への円安に進んでいる。2024年12月には157.89円という円安水準にもなった。

ファンドのパフォーマンスは、「どの期間をとるか」によって印象がガラリと変わってしまうものだ。過去5年を経験した投資家にとっては、「米国株最強」という印象が強いだろうが、それが今後も絶対的に通用するとはいえない。少なくとも2025年の年初来パフォーマンスでは「国内株最強」という事実がある。そして、国内株に対して海外の投資家の評価が高まっていることも感じられる。少なくとも当面は、国内株ファンドから目を離せない展開が続きそうだ。