つみたて投資をいつ始め、いつどのように解約するのか
前回の記事でもお伝えしましたが、コロナショックで一時的に評価損が出たとしても、つみたて投資の効用を理解していれば、相場の下落をむしろ前向きに捉えられるはずです。さはさりながら、コロナショックでせっかく積み立てた資産を売却したり、積み立てをやめたりする方がいらっしゃるのは、大変残念なことです。
そういう方やこの機会につみたて投資に取り組みたい方、あるいは今後解約したいという方は、以下の筆者のアドバイスをご参照ください。
<1>数年前からつみたて投資していて評価損が出ている方
前回の筆者の事例をご覧ください。つみたて投資で一時的に評価損が出るのは当たり前です。繰り返しになりますが、株価が下がったら喜ぶくらいのマインドセットで臨みましょう。
筆者もこの記事を書くために、自分のつみたてNISA口座の明細を入手したくらいで、毎月の基準価額なんか見ていません。結果的に預金よりマシ、くらいの感じで取り組んでいます。
2007年から続けているiDeCo(個人確定拠出年金)も同じです。評価損を気にしないでください。銀行の定期預金金利が0.00数%である状況下、通期で年換算リターンが2〜3%もあれば儲けものなのです。
ただし、この2点だけ注意してください。
1つ目は、将来性がない投資対象に投資しても意味がないことです。今回のようなコロナショックが訪れようと大恐慌であろうと、必ず復活している投資対象(例えば、米国株・S&P500指数/ニューヨークダウなど)を選んでください。
2点目は、必ず購入・運用コストが低い投資信託(≒インデックスファンド)を選んでください。投資信託を選ぶ場合、今や購入手数料は無料、信託報酬は年0.1%前後でないとペイしません。
<2>この機会につみたて投資を開始した方
おめでとうございます。こんな機会はめったにありません。少額でも結構ですから、引退までずっと続けてください。注意点は、<1>と同じです。
<3>この機会につみたて投資をしようと考えている方
まだ始めるかどうか迷っている方ですね。<2>と同じで、株価が低迷する今はつみたて投資を始める千載一遇のチャンスです。まずは勉強の一環として始めましょう。必ず学びがあります。同じく注意点をご参照ください。
<4>つみたて投資をしていて評価益が出ている方
この時点で長期間つみたて投資に取り組まれ、特に株式や株式投信で評価益が出ていらっしゃる方はかなりの強運の持ち主か、天賦の才能を持たれている方です。ただし、評価益は出ていても期待リターンがほとんどゼロ%の日本国債ファンドとか、現金に近い投資対象(例えば、iDeCoでの定期預金)とかではリターンがわずかですので、元本が残れば良いという程度で本当にいいのかどうか、読者の投資スタンスを再確認してください。
<5>つみたて投資を解約したい方
いつ解約するかは、その資金がいつ必要になるかによります。個人によって状況が異なりますので、次の4つのパターンを参考にして解約の要否や時期を決めましょう。ただし、短気は損気。基準価額が下がっているからといって、あわてて解約するのは考えものです。
(1)解約損を出したくない方は、利益が出ている分の口数だけを解約して資金化しましょう。資金が不足するかもしれませんが、一部の実現損を先送りすることはできます。ただし、さらに基準価額が下がることもあるので長期戦覚悟です。
(2)解約損を出しても必要な資金を用意したいという方は、その資金に応じた口数を解約しましょう。一部の損切りとなります。
(3)あれこれ考えずに資金が必要という方は、同じくその資金に応じた口数を解約しましょう。こちらも、一部の損切りとなる可能性があります。
(4)一部でも損が出ているのを見るのが嫌だという方は、この際全額解約してスッキリしましょう。そのほうがストレスを感じずに済みますが、再度投資を行うのは心理的に難しいと思います。