余裕なき投資が招く「身を切るような資産運用」

――「身を切るような資産運用」ですか。

これは私の造語で、そもそも資産運用は余裕資金で行うものですが、必要な預貯金や生活費を削ってまで行う資産運用といった意味です。それで何事もなければいいのですが、心の余裕もなく、財布に余裕もないという状態が続くと、投資判断に狂いが生じ、詐欺まがいのものに飛びついてしまう可能性も出てきます。

――そうした目下の状況を受けて、大学生に教える金融リテラシーに関して、近年何か変わってきたことはありますか。

学生には、もちろん資産運用も大事だけれど、就職活動を頑張って、物価上昇をはるかに上回るペースで賃上げをしている企業に入りなさい、といっています。いわゆる「稼ぐに追いつく貧乏なし」ということです。フーテンの寅さんが映画『男はつらいよ』シリーズでよく言っていたセリフです(笑)。まず、きちんと稼ぐことが重要で、それから資産運用を考えるべきだと。その順番を間違えると、身を切る資産運用に追い込まれるよっていうことを、最近は強調しています。