老後の生活を支える有力な手段の一つである確定拠出年金(DC)には、個人が加入するiDeCo(イデコ)と企業の従業員が加入する企業型の2つの制度があります。9月16日は2016年に個人型DCの愛称が「iDeCo」に決まった記念日です。両制度の活用と資産運用の必要性を考えるきっかけとして、FinaseeではNPO法人確定拠出年金教育協会の協力のもと、「iDeCo・企業型DCショートエッセイ」コンクールを開催しました。全国の皆さまからご応募いただいた「iDeCo」「企業型DC」に関するご自身の気持ちをつづった力作から、栄えある優秀賞に輝いたニックネームアンジェラさんの体験談をお届けします。

「一緒に考えるから、再開しよう!」150社から選んでパンフを請求

長男は学校で学んだことをよく話してくれるが、今日は老後の資産形成についての授業だったそうだ。

iDeCo(個人型確定拠出年金、イデコ)や企業型確定拠出年金(DC)。その名前を聞いて、24年ぶりに記憶がよみがえった。

私が金融機関に勤めていた2001年、まさに制度が始まったばかりのころに会社の福利厚生として掛金を拠出してもらったのだった。退職時にその資金をiDeCoに移し運用を始めたが、その後は子育てと仕事に追われ、満足に運用できていなかった。

「iDeCoは持っているけれど、ずっと運用していないの」とつぶやくと、「それなら僕も一緒に考えるから、再開しようよ!」と息子が提案してくれた。

私たちは150社以上ある金融機関から数社を選び、パンフレットを取り寄せた。口座移換も視野に入れてのことだったが、何といってもその投資先の多さに驚いた。

制度開始当初は預金のほか、投資信託では国内や先進国の株価指数に連動を目指すものなど投資対象資産は限られていたが、今では新興国株式や不動産投資信託(REIT)を投資対象とするもの、あるいは女性の活躍を支援するファンドなど、多様な選択肢がある。

再開にあたり、息子と一緒に各国の政治や経済動向を調べて投資先を検討した。息子と世界の情報を集め、成長を予測するのは初めてで、知識が増えることと、何より息子と学べることが楽しかった。昔の勤務先でDCに加入していたおかげで息子と経済について語り合う機会ができたことに感謝した。

二人で調べて20年後には世界人口の4分の1を占めるとされるアフリカを含むファンドを選択した。運用益が楽しみだし、所得控除の仕組みも理解できた。もう少し勉強したら、積み立てを再開しようと思う。