単身世帯よりも多い元本割れ経験率
20代単身世帯では元本割れ経験者が2割未満だったが、二人以上世帯ではどうだろうか。家族がいることで、投資行動に違いが生じている可能性もある。調査結果を見てみよう。
■元本割れの経験(20代二人以上世帯)
20代が世帯主の二人以上世帯の元本割れ経験は、調査結果によれば26.9%。単身世帯(17.7%)と比べて9.2ポイントも高い水準だ。
家族のために資産を増やそうと積極的に資産形成をしている可能性なども考えられる。全年代平均の34.9%と比較すると低い水準だが、同じ20代でも単身世帯より投資に前向きな傾向がうかがえる。
一方で「経験がない」との回答は73.1%。多数派ではあるものの、単身世帯(82.3%)よりも元本割れを経験している世帯が多いことが分かる。
元本割れをどう受け止めた?
続いて二人以上世帯における元本割れの受け止め方を見ていこう。単身世帯では「自分の相場予想が外れた」という自己責任の捉え方が最多だったが、二人以上世帯では傾向に違いが見られるだろうか。
■元本割れ経験の受け止め方(20代二人以上世帯)
20代二人以上世帯で最も回答率が高かったのは「自分の相場についての予想が外れたのであるから、それは仕方がない」で58.7%。先述の単身世帯(64.9%)より6.2ポイント低い水準だ。
次いで「自分が元本割れするリスクをよく理解していなかったのであるから、それは仕方がない」が32.6%と続く。こちらは単身世帯(25.8%)より6.8ポイント高く、知識不足を認識している傾向が強いことが分かる。なおこの水準は全世帯、全年代のうちで20代二人以上世帯が最も高かった。
一方で「相場の変動によって元本割れするリスクを金融機関が十分に説明しなかったためだ」と「著しい誤解を招く広告、勧誘を金融機関から受けたためだ」はいずれも4.3%で、合計すると約9%が金融機関側に問題があると考えているようだ。
20代の元本割れ経験と受け止め方から分かること
20代の元本割れ経験者は単身世帯で17.7%、二人以上世帯で26.9%と、全年代平均と比べて最も低い水準にある。まだ投資期間が短いことなども一因と考えられそうだ。
また、元本割れした際の受け止め方については、「自分の相場予想の外れ」と「リスクの理解不足」を合わせると単身世帯で90.7%、二人以上世帯で91.3%が自己責任と捉えている。全年代と比較して特に「リスクの理解不足」を認める傾向が強いのが20代の特徴だ。
一方で、金融機関の説明不足や誤解を招く勧誘を指摘する声も一定数ある。
今後、20代が資産形成を進めていく上で金融知識の向上とリスク管理の重要性を認識することが大切となるだろう。元本割れは誰にでも起こりうることを理解した上で適切な投資判断ができるようになることが望まれる。
資産運用において20代には時間という大きなアドバンテージがある。仮に元本割れが生じた場合でも、長期的な視点から見れば回復できる可能性は十分にあるだろう。損失を過度に恐れず、着実に知識を蓄えながらじっくりと資産形成に取り組める“時間”という強い味方がそばにいる。
■気になる元本割れへの対策については後編「【20代】資産運用に興味はあるけれど「元本割れ」が不安…同年代はどう向き合っているのか?【最新調査結果】」にて詳報している。
<調査概要> 調査名/「家計の金融行動に関する世論調査2024年」(金融経済教育推進機構) 調査時期/令和6年6月21日~7月3日 調査対象/単身世帯:全国2,500世帯(20歳以上80歳未満で単身で世帯を構成する者)、二人以上世帯:全国5,000世帯(世帯主が20歳以上80歳未満で、かつ世帯員が2名以上)、総世帯:令和3年調査より二人以上世帯、単身世帯の調査方法が同一となったことから、両調査の計数を合算する形で作成を開始した参考計表 調査方式/インターネットモニター調査


