元本割れ対策はとっている?

単身世帯に比べてリスク性商品で運用することに前向きな傾向にある二人以上世帯だが、元本割れ対策についてはどうだろうか。単身世帯では「何もしていない」が1位だったが、はたして異なる傾向にあるのだろうか。調査結果を見ていこう。

金融資産をより安全にするためにとった行動(60代二人以上世帯)

金融資産をより安全にするためにとった行動(60代二人以上世帯)
 
出所:金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査2024年」(※実数1022、複数回答)よりFinasee編集部作成
 

60代二人以上世帯が金融資産を安全に保つためにとった行動について、最も回答率が高かったのは「何もしていない」で65.5%だった。単身世帯(70.4%)に比べ4.9ポイント低い。

次いで「一金融機関に預けた預金金額が一千万円を超えないように、預入れ先を分散した」が17.2%、「金融商品の安全性に関する情報を収集した」が11.2%で続いた。これらは単身世帯とほぼ同水準といってよさそうだ。

一方で「経営内容がより健全で信用度が高いと思われる金融機関に預け替えた」が5.8%、「預金保険が適用される商品に預け替えた」が5.1%と、これらは単身世帯よりもそれぞれ2.3ポイント、1.6ポイント高い結果となった。家族と話し合っているのであろうか、何らかの対策をとっている人が相対的に多いようだ。

元本割れ対策をとっていない人も多い

60代ではどの程度リスク性商品を持つ意向があるのか。その現状はすでにリタイアを迎えた人も多い年代であることから消極的な人が多いようだ。それゆえか元本割れについて何も対策をとっていない世帯が過半数を超えた。

一見、元本割れがないように見える預貯金においても注意は必要だ。金融機関が破綻した場合、原則として元本は1000万円までとその利息分しか保全されない。あわせて、昨今の物価上昇による資産価値の目減りも考慮すべきだろう。こうした状況から預貯金や金融商品について分散投資を図っておくことは、考えておきたい重要な視点といえそうだ。

<調査概要> 調査名/「家計の金融行動に関する世論調査2024年」(金融経済教育推進機構) 調査時期/令和6年6月21日~7月3日 調査対象/単身世帯:全国2,500世帯(20歳以上80歳未満で単身で世帯を構成する者)、二人以上世帯:全国5,000世帯(世帯主が20歳以上80歳未満で、かつ世帯員が2名以上)、総世帯:令和3年調査より二人以上世帯、単身世帯の調査方法が同一となったことから、両調査の計数を合算する形で作成を開始した参考計表 調査方式/インターネットモニター調査