米国の利下げが米国株を押し上げ

みずほ銀行の売れ筋トップ10にランクインしている株式ファンドのパフォーマンスを調べると、8月以降に米国株式に主に投資するファンドのパフォーマンスが良化していることがわかる。具体的には「キャピタル・インベストメント・カンパニー・オブ・アメリカ ICA」、そして、「netWIN GSテクノロジー株式ファンドBコース(為替ヘッジなし)」のパフォーマンスが急速によくなり、先行していた「グローバル・ハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし)(愛称:未来の世界)」にパフォーマンスで追いついている。また、グローバルに分散投資する「キャピタル世界株式ファンド」の出遅れが明確になってきた。

「グローバル・ハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし)(愛称:未来の世界)」は、2025年7月末時点で国・地域別組み入れ比率は米国52.0%、フランス7.8%、インド6.2%、スウェーデン5.4%、デンマーク4.9%。中国4.3%など世界の株式に分散し、業種別も一般消費財・サービスが32.3%、金融18.3%、コミュニケーション・サービス17.3%などハイテク以外の投資先にも分散している。米国以外にも欧州や新興国などの株価も上昇した流れを受けて7月末時点では過去1年間のトータルリターンが31.06%と大きなリターンを出していたが、8月末時点では1年リターンが28.15%に減速し、米国株のみで運用している「netWIN GSテクノロジー株式ファンドBコース(為替ヘッジなし)」が28.31%と逆転した。

8月後半から9月に入っての米国株の上昇は米国に利下げ期待が高まってきたことによる。9月16・17日のFOMC(連邦公開市場委員会)において利下げが決定されることが確実視されており、金利据え置き状態になっている欧州などとは株式市場への追い風の強さが異なる。米国の雇用などは7月、8月と雇用者数が前月実績を下回り労働市場の減速が感じられる内容になってきている。雇用の減速による景気の悪化懸念が利下げの背景の1つであり、9月の後、12月にも一段と利下げとの見方もあるものの、「不景気の株高」は不安定な動きにもなりやすい。米国主導の株式市場がどの程度の持続力があるものか、慎重に見極める姿勢が必要だろう。

 

執筆/ライター・記者 徳永 浩