各販売会社が公開するデータをもとに、編集部独自の分析で投資信託の売れ筋を考察する連載。今回は、みずほ銀行のデータをもとに解説。
みずほ銀行の投信売れ筋ランキングの2025年8月のトップは2024年11月から10カ月連続で「ピクテ・プレミアム・アセット・アロケーション・ファンド」だった。そして、前月第2位だった「キャピタル世界株式ファンド」は第3位に後退し、第3位だった「グローバル・ハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし)(愛称:未来の世界)」が第2位に上がった。さらに、前月第9位だった「キャピタル・インベストメント・カンパニー・オブ・アメリカ ICA」が第7位に上がるなど、米国株式ファンドの人気が盛り上がっている。また、新規設定の「Oneグローバル債券ファンド2025-10(限定追加型)(為替ヘッジあり)」が第8位にランクインし、トップ10圏外から「NWQグローバル厳選証券ファンド(為替ヘッジなし/隔月分配型)(愛称:選択の達人)」が第10位に食い込んだ。
抜群の安定感「ピクテ・プレミアム・アセット・アロケーション」
みずほ銀行の売れ筋トップ、バランス型の「ピクテ・プレミアム・アセット・アロケーション・ファンド」は、世界の株式、債券、リート(不動産投信)、金をはじめとするコモディティなどさまざまな資産に分散投資し、市場環境に応じて機動的に組み入れ比率を変えて運用している。長期にわたって安定的な運用成績を残していることが支持を受けるポイントだ。2025年8月末時点で過去1年間のトータルリターンは8.99%で、2023年9月8日から約2年間の設定来では22.03%になっている。年間で2ケタに届くほどのリターンを残してきたことになる。
「ピクテ・プレミアム・アセット・アロケーション・ファンド」の基準価額と同じようなバランス型ファンド「NWQグローバル厳選証券ファンド」を比較すると、「ピクテ・プレミアム・アセット・アロケーション・ファンド」の安定ぶりが際立つ。「NWQグローバル厳選証券ファンド」は2024年前半のような株式市場が好調な局面では「ピクテ・プレミアム・アセット・アロケーション・ファンド」を上回るパフォーマンスになるものの、2025年4月の株価急落時には大きく基準価額が下落し、結果的にトータルリターンの水準が「ピクテ・プレミアム・アセット・アロケーション・ファンド」に及ばないということになっている。2023年12月末を基準とすると、2025年9月12日時点で「ピクテ・プレミアム・アセット・アロケーション・ファンド」は20.94%のリターンだったが、「NWQグローバル厳選証券ファンド」は15.11%のリターンにとどまり、その差は明確だった。これは、組み入れ対象に金(ゴールド)が入っているという「ピクテ・プレミアム・アセット・アロケーション・ファンド」の資産構成の違いもあるだろう。
機動的な資産配分の変更を行うファンドとして2025年5月に新規設定された「JPモルガン・グランド・アセット・アロケーション」は順調なスタートになっている。単純に同ファンドが設定された5月29日から9月12日まで3カ月余りの基準価額の上昇率を比較すると同ファンドは5.38%であり、「ピクテ・プレミアム・アセット・アロケーション・ファンド」の6.71%、「NWQグローバル厳選証券ファンド」の7.17%にやや後れをとっている。今後、パフォーマンスの面でどのような活躍をみせるのだろうか? 現状では期待先行の売れ筋順位になっているようだ。