日本経済の成長力に対する見方も悪化
雇用に不安を感じる一因には、今後の日本経済が成長路線を描けるのかという懸念もあるだろう。調査では、日本経済の成長力に関してどう思っているのかについて問いかけている。
日本経済の成長力に対する見方
結果、「より低い成長しか見込めない」と考える人が58.6%と半数以上を占め、前回から4.8ポイント増加している。
次いで「現状並みの成長が見込める」は37.5%と、前回から4.0ポイント減少。さらに、「より高い成長が見込める」は2.7%にとどまり、0.2ポイント減少している。
この結果、経済成長力D.I.(「より高い成長が見込める」−「より低い成長しか見込めない」)はマイナス55.9ポイントとなり、前回のマイナス50.9ポイントからマイナス幅が拡大している。
経済成長力D.I.の推移を見ると、ボトムは12年3月のマイナス68.3ポイント。この時は東日本大震災の発生から1年が経ち、復興に励みつつも不安もぬぐい切れない人々の心理を反映していた面があるかもしれない。
経済成長力D.I.の推移
逆にピークは13年6月でマイナス26.7ポイントを記録しているが、この時期はアベノミクスの影響と考えられる。この間、グラフに結果が如実に表れているとおり、ボトムからピークへと実に1年ほどの短期間で急回復している。このことは、悪い時期があっても好転する可能性はあるという大いなる示唆を含んでいる。
5年後の生活は良くなる?
調査ではさらに、5年後の生活についても質問を行っている。「良くなる」との楽観的な声は5.6%と少なく、「あまり変わらない」と答えた人が53.0%と半数以上を占めている。
一方で「悪くなる」と思っている人は40.5%と、前回調査より2.2ポイント増加。将来に対して不安を持つ人が増えているようだ。
5年後の暮らし向き
調査結果によると、雇用の不安が増え、経済の成長に対する期待も低くなっていることが分かる。将来の生活に対しても慎重な見方が多く、全体的に見通しに対して懸念がある状況が続いているといえそうだ。
普段、私たちは1年後、5年後の暮らしについて考えることはあまりないかもしれない。この機に改めて考え、小さな一歩からでも自身の将来に向けて行動を起こすきっかけとしてみてはいかがだろうか。
調査概要 調査名:生活意識に関するアンケート調査(第102回<2025年6月調査>) 調査主体:日本銀行 公表日:2025年7月14日 調査期間:2025年5月1日~6月3日 調査対象:全国2016人(満20歳以上)