営業益1200億円に向け事業再編 ROE改善にも着手

王子ホールディングスが足元で注力するのが生活産業資材です。25年5月に公表の中期経営計画において、同社は28年3月期までに連結営業利益1200億円を目指す方針を明かしました。25年3月期(同677億円)から77.3%増、1年あたり21.0%増の大幅な増益の計画です。そして、セグメント別では生活産業資材が最も利益が改善する内容で、25年3月期比で316億円の増益を見込みます。

【セグメント営業利益の目標(~28年3月期)】

・生活産業資材:500億円(25年3月期の実績:184億円)
・機能材:200億円(同124億円)
・資源環境ビジネス:450億円(同313億円)
・印刷情報メディア:200億円(同133億円)
※実績はグループ本社費の配賦前(グループ本社費は26年3月期から「その他」に集約)
※生活産業資材の実績はワルキ社およびIPI社を含む(従来は「その他」)

出所:王子ホールディングス 中期経営計画

生活産業資材の利益の改善は、価格転嫁のほか、ニュージーランド子会社の事業整理が寄与します。採算の悪かった板紙事業から完全撤退することで、海外段ボール事業が黒字に浮上する計画です。生活産業資材においては、子ども用おむつからも24年9月に撤退しており、不採算事業の見直しが進みます。

一方、投資による成長も図ります。王子ホールディングスは、24年にフィンランドのワルキ社を買収しました。包装資材や建材などを手掛けており、23年に買収した液体紙容器のイタリアIPI社と合わせ、3年間で利益を約40億円押し上げる想定です。

また、主力の資源環境ビジネスも、3年間で137億円の増益を計画します。パルプ市況の改善やコストダウン効果が利益を押し上げ、生活産業資材に次ぐ収益を目指します。

なお、中期経営計画の主な財務目標は次のとおりです。利益成長だけでなく、資本効率の改善にも取り組む内容となっています。負債の活用および株主還元の強化で資本を引き締め、ROE(自己資本利益率)の向上を図ります。

【中期経営計画の主な財務目標(~28年3月期)】

・ROE(自己資本利益率):8.0%(25年3月期の実績:4.3%)
・営業利益:1200億円(同677億円)
・純利益:800億円(同462億円)
・ネットDEレシオ:1.0倍以内(従来0.7倍)
・配当性向:50%(同30%)
・自社株買い:3年累計1200億円

出所:王子ホールディングス 中期経営計画