米国株ファンドで異彩を放つ「ゴールドプラス」

SBI証券の売れ筋に「ニッセイNASDAQ100インデックスファンド<購入・換金手数料なし>」、「Tracers NASDAQ100ゴールドプラス」という米株を主要投資対象とするファンドがランクインしたのは、足元の相場において米株インデックスの中で、「S&P500」よりも「NASDAQ指数」がより大きな値上がりをしていることを反映した動きだろう。

各ファンドの基準価額の動きを振り返ると、4月の急落時において「ニッセイNASDAQ100インデックスファンド」は「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」よりも大きな下落率となったことから、その後の上昇率は大きかったもののファンドの基準価額の推移としては7月時点では「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」とほぼ同等の水準にあった。さらに「NASDAQ100」と比較すると、ランキングで4位の「iFreeNEXT FANG+インデックス」は4月の下落率は最も大きかったものの、その後の戻りにおいても明確に「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」を上回るパフォーマンスを見せている。2025年になっても米国株市場の主役は「半導体」であり「AI」であることを感じさせる動きになっている。

一方、2025年1月24日に新規設定されたばかりの「Tracers NASDAQ100ゴールドプラス」は、先物取引を使って「NASDAQ100インデックス」に連動するファンドに純資産総額の100%、金先物取引の買建総額が純資産の100%を投資する仕組みで、合計で純資産の200%相当額になるように投資するファンドだ。いわゆるレバレッジ(テコの原理)を使ってリスクを大きくとるファンドになっている。その分、米株インデックスファンドが2024年末を基準にして、ようやく基準値を上回る水準に浮上しきた7月にファンドの基準価額は基準値を20%も上回る水準になっている。運用が始まって日が浅く、直ちに「NASDAQ100」と「金先物」の組み合わせは素晴らしいと判断することはできないが、大きな市場変動期に優れたパフォーマンスを残したことは記憶されていいだろう。

 

執筆/ライター・記者 徳永 浩