3年で350億円超を株主還元 成長投資800億円はコア事業へ集中

先述のとおり、シチズン時計は25年3月に新しい中期経営計画を公表しました。28年3月期を最終とする3カ年計画で、期間中は350億円以上を株主還元に振り向けます。還元は配当金を中心に行う前提で、目安を配当性向50%からDOE(株主資本配当率)5.0%以上へ切り替えて行います。なお、自社株買いについても状況に応じて機動的に判断する方針です。

【株主還元方針の変更(~28年3月期)】  

シチズン時計の株主還元方針の変更(~28年3月期)を表した図表
 
出所:シチズン時計 有価証券報告書
 

資金は成長や合理化への投資にも使います。投資額は3カ年で800億円を計画しており、うち7割以上をコア事業である時計と工作機械に振り向けます。

時計はブランドのグローバル展開を重点戦略に据えます。日本中心かつ高価格帯の「アテッサ」や「ザ・シチズン」のグローバル販売を開始し、ブランド全体で販売単価の改善を目指します。特に北米市場は「フレデリック・コンスタント」など投入ブランドを増やし、直販および直販ECで拡大を目指す戦略です。時計事業は、これらの取り組みで27年3月期に売上高1900億円、営業利益率12.0%まで拡大させます(25年3月期はそれぞれ1792億円、10.1%)。

工作機械は、中~大型機のブランド「ミヤノ」に注力します。欧米では大型機の需要が拡大しており、国内中心のミヤノを展開することで売り上げの底上げを目指します。地域別では、特に成長が期待されるインドを中心としたアジアで取り組みを強化する計画です。これらを通じ、27年3月期に売上高1000億円、営業利益率15.0%を目指します(25年3月期はそれぞれ743億円、7.6%)。

連結の目標は売上高が3600億円、営業利益率が9.0%です。また、ROE(自己資本利益率)目標は従来の8.0%以上を9.0%以上へ引き上げました。対資本での利益率も高く維持することで、株式市場での評価につなげたい考えです。

【主な財務目標(28年3月期)】
・売上高:3600億円(25年3月期:3169億円)
・営業利益率:9.0%(同6.5%)
・ROE:9.0%以上(同9.5%)
※ROE…自己資本利益率

出所:シチズン時計 有価証券報告書および決算短信