金投資のメリット③リターン
3つ目は長期的なリターンだ(図4)。

この点についてチャン氏は、「金はユニークな資産です。なぜなら、長期的に保有し続けた場合に、リターンと混乱期の分散の両方を期待できる資産は限られているからです」と語る。
また、利息や配当がないので投資しづらいという意見もあるかもしれないが、「1971年に取引が自由化されてから、10年単位の長期的な目線でみると、ドル建ての金価格の年平均リターンは約8.7%となっています。リターンが米国債や日本国債よりも高く、株式に近いリターンとなったこともあります」と長期的なリターンでほかの資産と見劣りしないと説明した。
金投資のメリット④インフレへの備え
4つ目は、インフレへの備えだ(図5)。

「金の供給は限られているので、物自体に価値があり、理論上無限に発行できる法定通貨と比べて貨幣価値の保存に優れています。グラフから分かるように、1971年から50年以上にわたって金の購買力は、米国の物価上昇局面でも維持されてきました。確かに低インフレや緩やかなインフレの状況では金の平均年率利回りは米国株式と比べて低かったものの、一定の利回りは得られています。重要なポイントは、インフレ率が5%を超える高インフレの状況では、金の平均年率利回りが米国株式を大きく上回ったことです。金は、急激なインフレに強い資産だと考えられるでしょう」(チャン氏)。
金は低インフレや緩やかなインフレ局面では魅力度が下がるものの、高インフレやデフレといった難局では光り輝く資産だといえよう。