各販売会社が公開するデータをもとに、編集部独自の分析で投資信託の売れ筋を考察する連載。今回は、福岡銀行の5月のデータをもとに解説。

福岡銀行の売れ筋(店頭販売件数ランキング)の2025年5月は、前月トップだった「ストックインデックスファンド225」が第6位に後退し、前月第2位の「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Bコース(為替ヘッジなし)」以下、「米国NASDAQオープン Bコース」など第5位までのファンドの順位が繰り上がった。また、前月第9位だった「三菱UFJ純金ファンド」が第5位にジャンプアップした。トップ10圏外から第8位に「フィデリティ・USリート・ファンド B(H無)」が、第10位に「野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)」がランクインした。

(出所)公表データに基づき編集部作成

◆「日経225」の評価が急落した理由は?

福岡銀行の売れ筋上位では、「ストックインデックスファンド225」の評価ダウンが目立った。トップ10上位に入ったファンドの2025年のパフォーマンスをみると、ランキングを一気に上げた「三菱UFJ純金ファンド」が別格の強さを見せて入っているほかは、4月上旬の急落を経て、その戻り過程にあるのが現在の水準だ。「三菱UFJ純金ファンド」以外は、株式を投資対象としたファンドで、米国株式主体のファンドが3本、日本株式主体のファンドが2本という内訳になっている。

日本と米国の株式ファンドでは、2025年に入ってからは日本株ファンドの方が良いパフォーマンスをあげている。このパフォーマンスの差は、2月以降の株価下落の大きさの違いによる。この下落時は米国株の方がダメージが大きかった。そして、福岡銀行のランキングの中での日本株ファンドの比較では、一貫して「三井住友・配当フォーカスオープン」が「ストックインデックスファンド225」を上回っている。ただ、「ストックインデックスファンド225」の運用成績は、米国株を主体としたファンド群には負けていない。「ストックインデックスファンド225」の人気が衰えた理由を、あえて探すとすると5月中旬から1カ月程度にわたって横ばいの動きになってしまったところだろうか。一段と上昇するという期待に応えられなかった失望が大きかったのかもしれない。

一方、米国株ファンドについては、4月の下落の後で、最も良い戻りのパフォーマンスを残しているのは「netWIN GSテクノロジー株式ファンドBコース(為替ヘッジなし)」で、同等のパフォーマンスで続くのが「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Bコース(為替ヘッジなし)」だ。それぞれ、2024年までの米国株高を主導してきたハイテク株、成長株を代表するアクティブファンドだ。4月の下落過程では最も大きな下落率になったグループだったが、戻り過程にあっても最も勢いよく戻っている。とはいえ、年初の高値を回復するまでには至っていない。今後、年初来高値を更新し、前年末までのようにハイテク成長株が市場をリードしていけるのかどうか、それを見極める正念場を迎えている。