三菱アセット・ブレインズがまとめた2025年5月の公募投信(ETF、DC専用、SMA専用、公社債投信除く)の新規設定ファンド数は14本と前月(15本)からやや減少したものの、設定総額は約820億円と前月(約150億円=過去2年間で最低水準)から大きく増加した。新規設定額ランキング(設定額は設定日の純資産額)でトップは、三井住友DSアセットマネジメントの「ゴールドマン・サックス(以下、GS)社債/FOLIO・AIマルチアセット戦略ファンド2025-05」の約753億円だった。
同ファンドは信託期間5年の単位型の投資信託であり、GS社債(円建て)を満期まで保有し、固定クーポンと戦略指数の実績連動部分の収益獲得を目指すもの。今年新規設定ファンドの中では第2位の設定額となり、債券を投資対象とする単位型投信としては2年5ヵ月ぶりの高水準な設定額となった。三菱アセット・ブレインズは「4月の株式市場および為替市場の急変を背景に、投資家のリスク回避姿勢が強まり、元本確保と一定の収益を追求する運用ニーズが高まったことが大きな設定額になったと考えられる」(「投信マーケット概況」6月号より抜粋)としている。
◆安定収益の確保めざす期間5年の単位型投信
「GS社債/FOLIO・AIマルチアセット戦略ファンド2025-05」は、ゴールドマン・サックスが発行する円建て社債に投資し、約5年後の満期償還時の元本確保を目指すとともに、AI運用に強みを持つFOLIOの「FOLIO-AIマルチアセット分散投資VT3指数」の累積収益率により決定される実績連動部分の獲得を目指すことを特徴とする。戦略指数は、先進国株式のETF、米国および新興国の株式指数先物、米国国債先物、CDS指数を活用した米国ハイイールド債券、米国不動産ETF、金先物等で構成され、AIを用いた資産配分の最適化に基づき、所定のリスクコントロールによりパフォーマンスの安定化を目指すというもの。
同ファンドの設定後に発表されたレターによると、当ファンドの投資対象であるゴールドマン・サックス社債の発行条件が決定し、利金(固定クーポン)は0.961%、実績連動部分である「FOLIO-AIマルチアセット分散投資VT3指数」の累積収益率への連動率は100%となった。ゴールドマン・サックス社債の利金から信託報酬等を差し引いた分配原資のなかから、年1回、1万口あたり45円程度(税引前)の分配を行うことを目指すとしている。固定金利による安定運用にプラスαの収益機会の楽しみを乗せたファンドであるようだ。投資期間5年の単位型投信として大きな期待をもって設定されただけに、シリーズ化も検討されるだろう。