◆外国株アクティブファンドの成績に分散の違い
福岡銀行の売れ筋トップ10に入っている4本の外国株式アクティブファンドは、ほとんどが米国株式をポートフォリオの中心に置いたファンドであるため、4月2日に発表された米国の関税策が米国経済に与える悪影響を懸念して4月の前半に大きな下落相場になった。4月9日に付けた安値では年初からの基準価額の下落率はそれぞれ30%程度に達した。その後、関税を90日間停止すると発表したことで米国株価が戻ったが、トランプ大統領がFRB議長の解任を検討していると伝わったことで4月21日に2番底といえる下落になり、4月末時点では年初から20%程度の下落水準にまでしか戻らなかった。
4本のファンドは、それぞれのポートフォリオの特性から、下落率や戻り率の違いがあった。もっとも下落率が小さかったのは「ひふみワールド+」だった。他のファンドがほぼ米国株100%で運用している中で、このファンドのみがグローバルに分散投資するファンドで、米国株への投資比率は50.07%となっている。また、投資銘柄数も4月末時点で97銘柄と他の3ファンドと比較すると分散されている。
下落率が最も大きかったのは、「米国NASDAQオープンBコース」。このファンドはNASDAQ上場の約3300銘柄の中から、38銘柄に絞ってポートフォリオを作っている。次に下落率が大きかった「netWIN GSテクノロジー株式ファンドB(為替ヘッジなし)」も米国を代表するテクノロジー株に集中投資するファンドで31銘柄にしか投資していない。下落後の戻り率では「netWIN GSテクノロジー株式ファンドB(為替ヘッジなし)」の方がやや大きく戻って、5月になるとより分散されていて下落率が穏やかだった「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Bコース(為替ヘッジなし)」と同じ水準にまで戻った。
「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Bコース(為替ヘッジなし)」は、成長の可能性が高いと判断される米国株に投資するファンドで、4月末時点の投資銘柄数は54銘柄だ。米国株以外の企業にも幅広く投資する「ひふみワールド+」ほどは分散されていないが、「米国NASDAQオープン」や「netWIN GSテクノロジー株式ファンド」と比較するとより分散されたポートフォリオになっている。
それぞれに特徴のある銘柄群で構成された外国株ファンドだが、4月の下落と、その後の戻りで大きな変化はなかった。ただ、ポートフォリオの中核になっているのは米国株であり、5月23日時点で年初来の下落率は10%程度と、既に下落率5%程度になっている国内株ファンドと比較すると2025年のパフォーマンスは厳しい内容になっている。下落時に下落率が大きくなると戻るのにも時間がかかる。米国のトランプ政権は貿易も外交も、メッセージ性の強い極端な政策の発信があり、交渉によって最終的には変化が小さくまとまるにしても、交渉が決着するまでには株式市場が右往左往することは避けられないようだ。米国株と国内株、あるいは、純金や債券などとの組み合わせによって価格変動率が緩やかになるよう検討することもひとつの方法だ。
執筆/ライター・記者 徳永 浩