◆バランスファンドの評価が高まるか?
ゆうちょ銀行・郵便局の売れ筋トップ10の6位以下を占めるバランス型ファンドは、2025年2月以降の株価下落局面において、バランス型の特性である株価下落に対する耐性を示している。ランキング第6位の「JP4資産均等バランス」と第7位の「野村6資産均等バランス」は、米国「S&P500」連動型インデックスファンドが年初来で一番大きな下落率(マイナス23.12%)になった4月9日時点でも下落率を10%以下にキープした。
「JP4資産均等バランス」は「国内株式」「先進国株式」「国内債券」「先進国債券」の4資産に均等に投資するファンド。「野村6資産均等バランス」は「国内株式」「先進国株式」「国内債券」「先進国債券」に加えて「国内リート(不動産投信)」「先進国リート」の6資産に均等投資する。2025年のパフォーマンスを比較すると、株価が下落する局面での下落を抑制する力は両ファンドに大きな違いはなかったが、反発局面においては「野村6資産均等バランス」の方が強い上昇力を示したため、結果的に「JP4資産均等バランス」を「野村6資産均等バランス」が上回る成績になった。
複数の資産に投資するバランス型ファンドの特徴は、価格変動のリスクを分散する効果に加えて、各資産の上昇する機会を分散するという効果もある。2025年の「4資産」と「6資産」の動きでは、「6資産」の方に、より多くの上昇機会があったということになる。株式市場が不安定な間はさまざまな資産に分散投資するバランス型ファンドのリスク分散効果が注目される。上昇力が高く運用成績では勝る「6資産」よりも、安定的な運用成績が期待される債券への投資比率がより大きい「4資産」の方がランキングの上位にあるのは、それだけ多くの投資家が株式市場の先行きを危ぶんでいるということだろう。バランス型ファンドの中でのランキングの変動にも投資家心理が読み取れるものだ。
執筆/ライター・記者 徳永 浩