株の神様の声が聞こえるというTさんは、定期的にその教えを受けています。今日は、Tさんと神様は、都内ホテルのラウンジで投資談義を行っています。
神様:Tさん、ドローン(無人運航機)を操縦したことはありますか?
T:ドローンですか? いや、ありません。操縦がなかなか難しいと聞きますし、操縦するには資格が必要なのですよね?
神様:すべてのドローンを操縦するのに資格が必要というわけではありません。ある特定の使用においては国土交通省が定める資格が必要となります。
T:国交省ということは国家資格なのですね。今後持っておいた方がいいのでしょうか?
神様:興味ありますか? 国交省ではこの資格のことを「技能証明」と呼んでいます。技能証明が必要となるシーンは、例えば、第三者の上空を補助者なしでドローンの目視外飛行を行う場合、または、一部「特定飛行」で許可・承認を得ることを不要とする場合、機体認証を受けたドローンを、技能証明を得た、つまり資格を持った操縦者が飛行させる必要があります。
T:…なかなか複雑な仕組みですね。ドローンの特定飛行とは何でしょうか?
神様:詳しくは「無人航空機 飛行許可・承認申請ポータルサイト」を見ていただければと思いますが、例えば、150メートル以上の上空、空港などの周辺、人口が集中する地区の上空、災害発生などの緊急用務空域などに該当する空域でドローンを飛行させる場合、ドローンの特定飛行に当たり、飛行許可・承認が必要となります。また、夜間の飛行、目視外での飛行、人または物件との距離を確保できない飛行、催し場所上空での飛行、危険物の輸送、物品の投下なども特定飛行に該当します。技能証明(資格)を得ることで、一部の場合この許可・承認の申請が不要となることがあるのです。
T:なるほど。資格を得ることでより楽にドローンを飛行させることができる場合があるわけですね。
神様:ところで、これまでドローンの飛行許可・承認を得るにはある程度の時間がかかるものでしたが、最近このプロセスが迅速化されました。2025年3月から、飛行許可・承認が必要な特定飛行について「ドローン情報基盤システム(DIPS)2.0」上で申請・手続き等を行うことが可能となり、オンライン上で飛行許可・承認が得られるようになりました。
T:それはいいことですね。ドローン運用者にとってより実用に即したドローンの活用の仕方ができるようになったわけですね。
神様:その通りです。これまでドローンの飛行においては、使用規制やライセンスの導入などの安全面の仕組みづくりが行われてきたところです。今後は認可承認件数がさらに拡大することが期待されます。近年は、測量、点検、空撮や農薬散布など、ドローンの活用範囲は拡大しています。ドローンを飛ばすための申請に一回一回時間がかかっていては、実用的な運用はできません。今回の迅速化の試みは、今後の国内でのドローン活用に弾みをつけるものとなるでしょう。ドローン市場の規模も、2023年度の3,854億円から2028年度には9,054億円まで拡大することが見込まれています。
T:海外に比べて日本国内のドローン活用は遅れている印象もありましたが、今後活躍の幅が広がるといいですね。
神様:ドイツのDrone Industry Insightが2022年に発表した世界ドローンメーカーのランキングでは、1位のDJI(中国)を筆頭に上位10社に中国メーカーが3社ランクインしています。近年の世界情勢を見ると、国家安全保障の面から国産ドローンの活用が重視されつつあります。ドローンの運用の枠組みが国際的に変化する可能性も考えられます。
T:確かに、ロシアによるウクライナ侵攻ではドローンの活用が積極的に行われています。つい最近も、自衛隊が小型の攻撃用無人機の導入を決めたとの報道を目にしましたし、防衛におけるドローンの重要性が増していることを感じます。国内ドローン企業にとっては大きな商機となる可能性もありますね。
神様:その通りです。願うことなら平和的な活用を望みたいところです。
T:今後はAIの活用も含めて、ドローン自体のさらなる進化も起こりそうですし、国内ドローン関連企業の活躍を期待したいと思います。