オール・カントリータイプのETFの不便なところ

なぜそのようなことになるのかというと、新興国の大半はドル建ての負債をたくさん抱えている国が多いからです。金利が上昇すれば、ドル建て負債をたくさん抱えている新興国の経済情勢が悪化します。同時に資本が新興国から米国に引き上げていくため、ドルが買われます。つまりドル高が進みます。それとともに新興国の経済情勢悪化によって、新興国企業の業績が悪化するため、株価の下落を引き起こします。

また、それとは逆に金利が低下すれば、新興国が抱えているドル建て負債の金利負担が軽減され、経済活動が徐々に活況を取り戻します。同時に、新興国に投資する動きが出てくるため、ドルが売られ、同時に新興国企業の株価が値上がりしやすい環境へと変わっていきます。

仮に900万円の資金を300万円ずつS&P500、NASDAQ100、そしてエマージングに投資していたとします。ところが金利上昇が進んだことによって、新興国の株価が大きく下がり、300万円ずつ投資したのに、エマージングだけが200万円に値下がりしてしまいました。

ここで資金的な余裕があれば、300万円から200万円にへこんだ新興国に100万円を投入したいところです。

でも、オール・カントリータイプのETFだと、確かに新興国も組み入れていますが、ETFはすべてがパッケージ化された金融商品なので、個人が運用会社に連絡して、エマージングの組入比率を指示することはできません。ここがパッケージ商品であるETF、もしくは投資信託の不便なところです。

でも、SNEポートフォリオのように、S&P500、NASDAQ100、エマージングをそれぞれバラバラに購入すれば、このように追加投資をしたい時、自由に資金を調整できます。あえてオール・カントリーの欠点を申しあげるなら、パッケージ化されているため、投資家が自分でポートフォリオの中身を調整できない点にあります。この点は、SNEポートフォリオで運用したほうが有利です。
 

本当に資産を増やす米国株投資

 

著者名 岡元 兵八郎

発行元  ビジネス社

価格 1,760円(税込)