iDeCoに加入できない、掛金の拠出停止などの恐れが
こうした通知を受け取った人は、①iDeCoに加入できない、あるいは②iDeCo掛金が拠出停止になります。②に関しては、何らかの手続きをすれば掛金拠出を再開できる場合と、掛金拠出自体ができない場合とがあります。また、不整合通知同封書類には、「手続きに関するご案内」として、解説動画の二次元コード等も掲載されていますが、結論としてiDeCoの受付金融機関や会社の人事・総務担当に問い合わせるという対応が案内されています。
会社の人事・総務担当が問い合わせを受けると、(企業型DCならまだしも)iDeCoのことはわからない、という事態が発生します。結果的にDCコールセンターへの電話が増えることになります。
なお、国民年金基金連合会では専用の臨時コールセンターも設置しているようです。
三つのキー情報でデータを突合
データの突合は「基礎年金番号」「生年月日」「性別」で行われますが、そのキー情報自体の登録が相違している場合もあります。たとえば企業年金側(DCやDB)の情報が誤っていた場合、企業が加入者情報を修正する必要があります。そして、その修正がプラットフォームに反映されるまでには2~3カ月程度かかるといわれています。DCであれば記録関連運営管理機関を通じて、DBであれば受託機関を経由しての修正となるためです。
キー項目以外でよくある誤りは、企業年金等の加入状況コードに関するものです。
iDeCo加入申し出の際に、「厚生年金」と「厚生年金基金」を混同し、企業年金制度がないにもかかわらず、「02確定給付型の企業年金」を選択してしまう例があるようです。また、実際はDB加入者なのに、「00他の企業年金制度なし」を選択しているケースや、逆にDB加入者ではないのに「加入」にしているケースもあるようです。いずれにせよ自己申告ベースのため、後からの不整合通知での対応となります。なお、iDeCo加入者が自ら対応する場合は、iDeCoの受付金融機関に書類を提出することになります。
さらにDBについては、規約の定め方によっては注意が必要な場合があります。加入者資格の付与が入社即ではなく、入社後に初めて迎える4月等に定めているケースがあります。その結果、データ上の情報と本人の認識に齟齬が発生することが考えられます。
たとえば、iDeCo加入者のAさんが、DBのあるB社(毎年4月にDB加入者になる規約)に5月に転職する場合、ご自身で「加入者登録情報変更届」を「02確定給付型の企業年金」で提出すると、不整合になります。Aさんは翌年の4月にならないと、データ上の登録情報がDB加入者とならないためです。この場合は不整合を修正した後、翌年の4月に再度「加入者登録情報変更届」を提出する必要があります。
企業年金制度の担当部署の方には、頭の痛い問題になると想定されます。
2024年12月以降に入社した人のうち、誰がiDeCoの加入者かを把握できないためです。2024年12月より前はiDeCo申込時に事業主の証明書を発行していたため、ある程度、加入者の状況は把握できていましたが、2024年12月以降は事業主の証明書が不要となっています。iDeCo加入者かどうかがわからなければ、DB加入の連絡をすることもできません。該当の方が不整合通知を受け取って初めて、対応できることになります。