決算書は企業の成績表ともいえます。ビジネスパーソンにとっても投資家にとっても、決算書を読み解く能力は欠かせません。

とはいえ、数字がずらりと並んだ決算書をただ眺めているだけでは、イメージがわきにくいことも。そこで、中京大学国際学部教授の矢部謙介氏は、ビジネスや投資に活かせる「おもしろい」決算書の読み方を提案しています。それは、決算書をビジュアル化し、ビジネスと結びつける方法です。さらに、競合他社と比較することで、ビジネスモデルや戦略の違いがより明確に浮かび上がります。

今回は入門編として、矢部氏に半導体産業の貸借対照表(B/S)を例に挙げて解説してもらいます。(全4回の3回目)

●第2回:決算書からビジネスモデルがわかる! 半導体大手TSMCの2大特徴、「半導体製造工場」ともう1つは…

※本稿は、矢部謙介著『会計指標の比較図鑑』(日本実業出版社)の一部を抜粋・再編集したものです。

ゲーム向けGPUからAIへシフトするエヌビディア

続いて、エヌビディアのB/Sを見ていきましょう。

 

B/Sの左側において最も大きな金額を占めているのは、流動資産(443億4,500万ドル)です。ここには、有価証券が187億400万ドル、現金及び現金同等物が72億8,000万ドル計上されています。

一方で、有形固定資産(オペレーティング・リース資産を含む)の金額は52億6,000万ドルにとどまっています。総資産に対する割合は8%で、TSMCの56%と比較すると大きな隔たりがあります。