外交問題にも発展

そして、インドにおける宗教に関連する問題は時に外交的問題に発展することがあります。

2023年、カナダにおいてインド北部での独立運動を指導していたとされるカナダ国籍のシーク教指導者が殺害される事件が発生しました。カナダ政府はこの事件にインドの外交官の関与が疑われたことを受けてペルソナ・ノン・グラータ(国外退去処分)としたほか、インド政府もインドに駐在するカナダの外交官の減員を要求してカナダ政府が外交官を退去させるなど、両国の対立関係が先鋭化する事態に発展しました。

実は、米国においてもシーク教の指導者の殺害計画にインド人が関わったとして逮捕、起訴されており、米国政府の対応が米印関係に様々な形で影響を与える可能性が高まっています。その意味でも、インドにおける少数民族や宗教を巡る問題は、インド国内だけの問題ではなく、外交関係を通じて世界にも影響を与え得ることを認識する必要があります。

インドは中国を超えるのか

 


著者名 西濵 徹

発行元    ワニブックス

価格 990円(税込)