車のドライブで例えてみると…

私はこれを車の運転に例えることがあります。マニュアル車を運転し、できるだけカーナビに頼らないことを理想とする人がいます。車のメンテナンスも自分でやるような人です。彼らは「自分が運転の実感を持つことが楽しみ」だといいます。

一方で、ほとんどのドライバーはオートマで運転をしていますし、カーナビも利用します。高級車種では高速道路の運転では半自動運転(ADAS:先進運転支援システム)に対応していれば、軽く手を添えれば目的地までほとんどストレスなく到着できます。もちろん、車のメンテナンスはディーラー任せです。

大多数のドライバーは、「目的地にできるだけラクな形で移動すること」を運転に求めています。メンテナンスも専門家に費用を払って委託しようと考えます。

どちらの運転が正しいかを議論することに意味がないのはおわかりでしょう。それは好みであって、決めつけるものではありません。

投資でいえばアクティブな投資スタイルを選好する人がマニュアル運転タイプ、インデックス投資をベースとする人がオートマ運転タイプといえます。

しばしば、アクティブが勝ちかインデックスが勝ちかという議論が行われますが、大事なのは「自分はどちらの投資スタイルのほうが投資を通じて得られるウェルビーイングが好ましいか」を考えることでしょう。

インデックス運用orアクティブな投資スタイル、判断軸になるのは?

投資とウェルビーイングについて、前回と今回、2回に分けて考えてみました。インデックス運用のスタイルでウェルビーイングを手に入れたいのか、アクティブな投資スタイルでウェルビーイングを手に入れたいのか、これはじっくり考えてみる価値があるテーマだと思います。

ひとつの判断軸は「投資にどれくらいのリソースを振り向けてみるか」でしょう。

毎日数時間、マーケットニュースを読んでいて苦にならない人と、そうでない人はいます(実は私は後者です)。

前者であれば、個別銘柄を探して企業を応援しつつ資産を増やしていく投資スタイルのほうが楽しいでしょう。ファンドマネージャーの考え方、アクティブな投資信託の運用方針に賛同して投資をする、という場合もこちらに該当します。

後者の場合は、投資の負担を極力減らしつつ、平均的なリターンは確実に確保したいという考え方です。投資に負担がかからないことで、日常生活の充実や本業である仕事への集中につながり、全体としての便益は大きいと考えます。

ドライバーの多数派がオートマ運転であるように、投資においてもインデックス運用が多数派になることはおかしい話ではありません。

インデックス投資家は、インデックス運用を通じ、自身の経済的安定が少ない負担で実現することにウェルビーイングを感じてみてはいかがでしょうか。