お金が増えても「幸福感」が高まるとは限らない?
FIREを目指す理由としては、「働く苦労から解放されたい」「もっと自由な時間を増やしたい」といった思いが考えられる。一方で、実際に大きな資産を手に入れた人の中には、「想像したほど幸福感を得られなかった」という声も多い。
たとえば、「働く必要がないほどお金がある」という状態になっても、時間は増えるものの、退屈や虚しさを覚える人もいるようだ。逆に、「お金を稼ぐ」という形以外で社会や家族に貢献している人も多く、それによって十分にやりがいや満足感を得ている場合もある。それぞれが納得する形で、周囲との関わりを保つことが重要なのだろう。
FIREの本質とは「選択肢を増やす」こと
こう考えると、FIREは「働かなくていい生活を絶対的に保証する」というより、「働く・働かないをある程度自由に選べる状態を目指す」戦略としてとらえるほうが現実的かもしれない。ある程度十分な資産を築ければ、続けたくない仕事を思い切ってやめたり、より自分に合った職種や働き方を選びやすくはなるだろう。
「経済的な自由度を高める」こと自体は、ライフスタイルを柔軟に変えやすくするという意味でメリットがある。ただし、資産運用には不確実性がつきまとうため、想定どおりにいかないリスクを踏まえ、定期的にポートフォリオを見直すといった対応は求められる。