◆米国の成長株投資の祖と呼ばれる「ティー・ロウ・プライス」とは?
「ティー・ロウ・プライス」は、創業者のトーマス・ロウ・プライス・ジュニアが「成長株運用」の祖といわれるほど、成長株投資で成功した運用会社だ。設立は1937年、米国メリーランド州ボルティモア。独自のファンダメンタル・リサーチによるアクティブ運用に強みがあり、「顧客第一主義」「同僚・チーム間のコラボレーション」「互いの尊重」「長期的視野を持つこと」などを重視している。
第7位にランクインした「ティー・ロウ・プライス 米国オールキャップ株式ファンド」は、主として米国の株式の中で、成長性が高いと判断される企業や、企業の本質的価値に比較して過小評価されていると判断される企業の株式等に投資を行う。大型株式から小型株式まで幅広い時価総額規模の企業を投資対象としているところに特徴がある。2024年12月末時点で過去1年間のトータルリターンは40.4%であり、これは、米国の代表的な株価指数「S&P500」に連動する「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の40.8%に匹敵する。1月に発足したトランプ第2次政権は「アメリカ・ファースト」を旗印に国内産業の育成を目指しており、内需企業が多い中小型株を後押しするような政策が期待される。一般的な米国株アクティブファンドに対し、中小型株を含む銘柄群を投資対象としている同ファンドに活躍期待が高まるところだ。
また、第10位に入った「ティー・ロウ・プライス 米国成長株式ファンド(愛称:アメリカン・ロイヤルロード)」は、同社の旗艦ファンドともいえる存在だ。ファンドの純資産残高は5100億円を超える。米国株の中から独自の個別企業分析に基づくボトム・アップ・アプローチを重視した銘柄選択を行う。「ティー・ロウ・プライス 米国オールキャップ株式ファンド」が中小型株にも注目していることと比較すると、大型株中心のポートフォリオになっている。
「ティー・ロウ・プライス 米国成長株式ファンド(愛称:アメリカン・ロイヤルロード)」の12月末時点のトータルリターンは過去1年が47.1%と「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の40.8%を上回っている。過去3年の成績は62.7%であり、「S&P500」インデックスファンドの78.0%を下回っているものの、「S&P500」指数は、「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる大型ハイテク企業の株価がここ数年大きく値上がりしたことで割高になっているという指摘がある。個別銘柄によって選別投資するアクティブファンドの実力が発揮される市場になっているといえるだろう。同ファンドの今後の動向が注目される。
執筆/ライター・記者 徳永 浩