三菱アセット・ブレインズがまとめた2024年12月の公募ファンドの純資産残高は110兆2770億円で前月比3兆6393億円増加して史上最高を更新した。増加額は前月の4760億円増からは大きく増加した。資産別には「外国株式型」が約62兆2003億円と前月から3兆1439億円増加した。次に残高が大きい「国内株式型」は約12兆1926億円で前月比2555億円の増加、「複合資産型」は約12兆1887億円と前月比2090億円増だった。「外国株式型」の残高増が際立っている。
資金流出入額は約7430億円で前月の約7570億円とほぼ同じ規模だった。資産別にみると流入額の大きな資産クラスは「外国株式型」(約1兆560億円、前月は約7660億円)、「複合資産型」(約370億円、前月は約570億円)だった。この2つの資産クラスは2024年に12カ月連続で資金流入となった。「外国株式型」では「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」に約2005億円(前月は約1683億円)の資金流入があった。資金流出は「国内株式型」(約2020億円)、「その他」(約410億円)などだった。「国内株式型」では「日経225ノーロードオープン」(流出額は375億円)などインデックスファンドが流出上位になっている。
◆資金流入額ランキング・トップ3の変遷
「外国株式型」が資金流入で際立った大きさになるのは、資金流入額ランキングで常にトップ3になる「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース(為替ヘッジなし、毎月決算、予想分配金提示型)」の3ファンドが全て「外国株式型」に分類されるファンドであることが大きい。12月はこの3ファンドだけで資金流入額が5064億円となっており「外国株式型」全体の流入額の50%程度を占めている。
この3ファンドは、2024年2月~12月まで連続して資金流入額トップ3に君臨してきた(2023年1月は「米国成長株投信Dコース」が第4位)。10月までは「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」がトップで、11月以降は「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」がトップに立つなど順位の変動はあったが3ファンドが資金流入の中心である事実には変化がなかった。
3ファンドの個々の資金流入額の変化に注目すると、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」は、1月の資金流入額が3439憶円と突出し「新NISAの申し子」のような存在になったが、その勢いは10月までだった。12月の資金流入額は1820億円で1月の約半分の規模になった。それに対し、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は1月のスタートが2090億円で、その後ずっと「オルカン」の後塵を拝してきたが、12月の流入額は2005億円とほぼ1月の水準に戻っている。また、「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信D」は1月に450億円という流入額の水準からスタートして12月は1239億円になった。月間の資金流入額では約2.7倍増と大幅に流入を増やしている。株高によって米国株全体には割高感が指摘される中で、アクティブファンドとして銘柄を選定する能力に対する期待感が資金流入額の増大に表れていると考えられる。