理論上は「一括」でも、不安が残る人は積立でOK

というわけで、NISAで資産形成をするのであれば、一括で投資することをまずお勧めします。もちろん、資金がある程度あるならば、と言う前提条件ですが……。

ただし、年間にまとまった資金を入れられるのは成長投資枠だけです。成長投資枠なら年間240万円を一括投資できるので、毎年240万円を年初に一括投資し続ければ、5年間で成長投資枠の生涯非課税枠を満たせます。

加えて、さらに資金面に余裕のある方は、同時につみたて投資枠を用いて毎月10万円ずつ積み立て、5年後に成長投資枠と合わせて1800万円の非課税枠を全額満たすという合わせ技を検討しても良いでしょう。

実際、S&P500に連動するインデックスファンドに、2008年のリーマンショック後から投資した場合、この16年間で、米国株式市場も幾度となく株価の急落に見舞われたものの、それでもチャートを見ると右肩上がりの値上がりが続いているだけに、一括投資した方が高いリターンが得られたはずです。

とはいえ一括投資するには、投資対象が長期的に値上がりすることを強く信じられなければ難しいと思います。その自信が今ひとつ持てない場合は、精神安定剤として積立投資を選ぶのも一手です。

正直、2025年のマーケットは波乱含みでしょう。場合によってはトランプ次期大統領の政策次第で、米国株式などは大きく調整することも考えられます。大きく調整する局面では、積立投資で買い付けタイミングを分散させた方が、価格の安いところで多くの口数を買い付けられるので、その後の価格上昇局面で大きなリターンが期待できます。

その点で、NISAを用いた投資初心者の運用でも、多少の戦略を検討する必要性はあるのかもしれません。

少なくとも来年中は、トランプリスクによる株価の急落を警戒しておくに越したことはないので、まずは積立投資からスタートすることも考えてみてはいかがでしょうか。成長投資枠を使って、まずは積立投資からスタートし、株価がボトムを打ったと判断した時に、その年で残っている枠を使って一括投資するのです。

もちろん、成長投資枠の240万円の枠内で、マーケットが下落した時に複数回にわけて資金を投入するという手もありますが、この方法は買い付けるタイミングを間違えると、一時的に大きな含み損を抱える恐れがあります。その心理的なプレッシャーを避けたいのであれば、マーケットが下げている間は定額積立で乗り切り、底を打って徐々に上昇トレンドに入る場面で、まとまった資金を投入するという戦略を取るのも“あり”だと思います。