老後資金2000万円問題や新NISA開始もあって、今までにないと言えるほど多くの人が資産形成に関心を寄せています。
しかし、そうしたムーブメントがあれば、必ず現れてくるのが「ネットにあふれる玉石混交の金融情報」。こうした状況に対し、元・金融庁官僚でマネックスライフセトルメント代表取締役の我妻佳祐氏は、「ほんとうに必要な金融の知識は、それほど多くもない」と警鐘を鳴らします。
そんな、“必要最低限の金融知識”を説く話題の書籍『金融地獄を生き抜け 世界一簡単なお金リテラシーこれだけ』から、投資信託の選び方について解説した箇所をお届けします。(全4回の2回目)
●第1回:似ているようで違う!? インデックス投資信託でよく見る「日経平均」「TOPIX」、両者の違いとは
※本稿は、我妻佳祐著『金融地獄を生き抜け 世界一簡単なお金リテラシーこれだけ』(幻冬舎)の一部を抜粋・再編集したものです。
インデックス投資信託は経済全体に連動して値が動く
ここで、投資に関する有名な格言を紹介しましょう。
「卵はひとつのカゴに盛るな」
これは、分散投資の大切さを教える言葉です。
割れやすい卵をひとつのカゴに盛ると、うっかりそのカゴを落としたときに、卵が全部ダメになってしまうでしょう。しかし卵をいくつものカゴに小分けにしていれば、カゴをひとつ落としたとしても、多くの卵が無事に残ります。
投資もそれと同じ。ひとつのカゴ(銘柄)に卵(資金)をすべて投入すると、その銘柄が値下がりしたときに大損失が出てしまいます。資金を小分けにして、いろいろな銘柄に分散投資をしたほうが、リスクが小さいのです。
投資のプロに任せるアクティブ投資信託も、なるべくリスクを小さくするための工夫はしています。ひとつのカゴに卵を集めるわけではありません。ファンドマネージャーの選んだ複数のカゴに、分散投資をします。
でも、そのカゴの数はあまり多くありません。投資のプロが「ここが値上がりする」と思って卵を多めに盛ったカゴを落としてしまったら、たとえ残った卵が無事でも、全体としては大きな利益にはならないでしょう。それがアクティブ投資信託のリスクです。
一方、インデックス投資信託は、TOPIXや日経平均を見ればわかるとおり、たくさんのカゴに少しずつ卵を盛ります。そのうちのいくつかを落としたとしても、全体が受けるダメージは相対的には小さくなります。