日経平均は「流動性」と「セクターバランス」で選定

まずは日経平均です。組み入れの上位5銘柄を見ると先述したとおり、値がさ株が上位を占めていることがわかります。

【日経平均の組入上位5銘柄(2024年10月末時点)】
・ファーストリテイリング:11.25%
・アドバンテスト:6.16%
・東京エレクトロン:5.91%
・ソフトバンクグループ:4.79%
・信越化学工業:2.42%

※%は組入比率
※(参考:2024年10月末終値)ファーストリテイリング:4万9520円、アドバンテスト:9148円、東京エレクトロン:2万3645円、ソフトバンクグループ:9498円、信越化学工業:5755円
出所:日経平均 ファクトシート

ただし、単純に株価の大きさで銘柄を決めているわけではありません。日経平均には主に「流動性基準」と「セクターバランス」という2つの基準があります。

流動性基準とは、取引が活発に行われているかを測る指標です。5年間の売買を計測し、取引が多い上位450銘柄を抽出します。この上位450銘柄を「高流動性銘柄群」と定義し、組み入れの母集団とします。流動性基準は、アメリカの主要な株価指数「S&P500」にも設けられています。

【参考記事】結局、「S&P500」ってなんで人気なんですか?

セクターバランスは業種間の偏りを減らす仕組みです。日経36業種を6つのセクターに集約し、特定のセクターに偏らないよう高流動性銘柄群から候補となる銘柄を絞り込みます。最終的な決定は、専門家の意見も取り入れながら行います。なお、銘柄は毎年4月と10月に見直されます。

【日経平均の6セクターの内訳】

※「輸送用機器」は採用がない(2024年10月末時点)

TOPIXは進化中 対象市場を拡大!流動性基準と定期入れ替えも導入予定

日経平均と比べると、TOPIXの算出方法はシンプルです。プライム市場を対象に、時価総額の加重平均で算出されます。先述のとおり、組み入れの上位は大型株が並ぶこととなります。ただし、1銘柄あたりの比重は10%が上限です。

【TOPIXの組入上位5銘柄(2024年10月末時点)】
・トヨタ自動車:3.69%
・三菱UFJフィナンシャルグループ:2.72%
・日立製作所:2.64%
・ソニーグループ:2.47%
・リクルートホールディングス:1.98%

※%は組入比率
出所:TOPIX ファクトシート

なお、TOPIXは次期TOPIXへの移行を進めています。移行は2段階に分かれており、現在は第1段階にあたります。

第1段階では、流通する株式で算定された時価総額が100億円未満の銘柄の除外が行われています。除外は段階的に進められており、2025年1月最終営業日に完了する予定です。第1段階の完了で、組み入れは約1700銘柄まで縮小する見込みです(2022年4月は約2200銘柄)。

第2段階では大きく2つの改革があります。「対象市場の拡大」と「流動性基準の導入」です。対象市場の拡大はスタンダード市場とグロース市場の追加、流動性基準は売買が乏しい銘柄の除外が主な内容です。

さらに、次期TOPIXでは定期入れ替えが行われるようになります(現TOPIXに定期入れ替えはない)。流動性基準で評価され、毎月10月に入れ替えられます。初回は2026年10月に実施の予定です。

ただし、第2段階の移行も段階的に進められます。以降は2028年7月にかけて徐々に実施されます。第2段階が完了した次期TOPIXは、組み入れが約1200銘柄まで減少する見込みです。

値動きは日経平均の方が大きくなる傾向

日経平均とTOPIXは、いずれも代表的な国内株式指数です。どちらの指数も投資信託の参照指数としてよく採用されます。指数に魅力を感じるなら、投資信託を活用し、投資してみてはいかがでしょうか。

なお、両指数は比較すると構成銘柄の違いが大きいことがわかります。特に構成比率で違いが大きく、日経平均は組み入れ上位に偏っています。TOPIXよりも銘柄数が少ないこと、株価ベースで算出されることなどが要因です。これらから、値動きは日経平均の方が大きくなりやすいでしょう。投資の際は注意してください。