相続対策
70代になると、自身の財産をどのように次世代に引き継ぐかを考える時期でもあります。ご自身が経験した相続や専門家の知見などを活かしてしっかり準備することで、家族間のトラブルを避けることができます。相続準備というと資産の多い人をイメージしますが、実際には、約8割弱の係争案件が遺産の価額5,000万円以下で発生しています(資料2)。
(資料2) 遺産分割事件における認容・調停成立件数(7,234件)の遺産の価額別割合
準備に必要なのは、まず、相続財産の把握です。財産および借金はできるだけ家族と共有化してください。相続の際、特に問題になるのが、夫婦で子どもがいない場合、再婚した場合、法定相続と異なる割合での相続をしたい場合などです。このような場合は、遺言書を作成することも検討してください。遺言書に自身の財産をどのように分配するかを明確に記載することで、「争族」の可能性が減少します。遺言書は法律によって要件が定められていますので専門家と相談することをお勧めします。
相続税が発生する場合、その対策も考慮する必要があります。生前贈与や生命保険の活用など、相続税を軽減するための方法を検討しましょう。相続税は一般の人にわかりにくい規定も多いので専門家に相談することで、有効な対策を講じることができます。
相続に関する事項は、家族としっかり話し合っておくことが重要です。財産分与の意向や希望を共有することで、後々のトラブルを避けることができます。重要なのはご自身がしっかりと意思表示ができるうちに準備することです。脳梗塞や認知症などの病気によっては意思表示ができない状況になる可能性もあるからです。
以上のようなことを踏まえつつ、必要以上に節約することなく、計画的にお金を使ってセカンドライフを豊かなものにしていきましょう。
●参考記事:60代に立ちはだかる親の介護と相続の壁、豊かなセカンドライフのために不可欠な準備は…
(執筆:村井幸博)
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