魅力的な利回りの理由

実はプライベート・クレジット・ファンドには証券取引所に上場されているものがある。BDC(Business Development Company)といって、不動産の投資ビークル(会社)であるREIT(不動産投資信託)のプライベート・クレジット版と言ってしまったら分かりやすいかもしれない。

大部分をプライベート・クレジットに投資し、収入の90%以上を分配するなどのルールがあり、税優遇を受けている。

BDCは最初は非上場で運用されていて、上場されているものが一般に取引所で投資できるようになる。上場されているBDCは47ほど存在する。中でも一番大きいものが、Ares Capitalという運用会社のBDCだが、配当利回りをチェックしたところ過去5年の平均が約9.5%(年率)もあった。

ずいぶん魅力的な利回りだが、理解が必要なのは、BDCは一般的にレバレッジをかけて(いくらかお金を借りて)プライベート・クレジットに投資しているという点だ。

つまり、10%の分配を出しているBDCの中身を構成するプライベート・クレジットは、そのまま10%の利回りを出しているというわけではない。レバレッジをかけると、原資産の利回りを高めることができるのは、解説の必要はないだろう。

そして実は、非上場のBDCが上場される際には、一般的にプレミアムがつく(つまり価格が上がる)という点も理解する必要がある。そして当たり前だが、上場後も価格は上下する(利回りも逆相関で上下する)。注意するべきなのは、上場株と同様、人気が過熱して買われるとリスクに比較して高くなりすぎる(利回りが低すぎる)こともあり得るという点だ。

株でも何でも同じだが、上場された後は、誰もが売り買いできるようになるというメリットの反面、場合によっては価格が本源的な価値と離れて高くなりすぎてしまうことは、デメリットと思う。