◆年間40回最高値を更新した「S&P500」の強さ

「S&P500」はコロナ・ショックの折、2020年2月19日の史上最高値3386ポイントから3月23日までの約1カ月で、33.9%下落したが、約5カ月後の8月18日には、下げを完全に埋めた。そして、その後、史上最高値を何度も更新し、2020年末には3756ポイント、2021年末は4793ポイントとなり、年間で70回目の史上最高値更新で年を越えた。この頃から「S&P500」の割高は意識され、2022年末は3839ポイントと年間で約20%下落した。ところが、2023年には復調し、2023年末は4769ポイントと史上最高値をうかがう水準に回復した。そして、2024年1月には4839ポイントで再び史上最高値を更新。2024年10月18日まで年初から46回目の史上最高値更新を記録し、「S&P500」は5864ポイントまで上伸した。

この「米国株」の動きと比較すると、「日経225」は2024年2月22日にバブル期(1989年12月29日)に付けた史上最高値3万8915円を34年2カ月ぶりに更新してから、今年は12回の最高値更新を記録し、7月11日に4万2224円の高値を付けた後は4万円を割り込んだ水準で推移している。年間で40回以上も史上最高値を更新する「米国株」と比較すると、「日本株」は10回程度の更新頻度にとどまっているため、明らかに勢いは米国株の方にある。「米国株」の勢いについていくのか、それとも、出遅れた「日本株」の活躍を期待するのか、今、評価は揺れ動いているといえるだろう。

◆急浮上した「野村ブラックロック世界優良企業厳選ファンドBコース」

10月のランキングで第7位に食い込んだ「野村ブラックロック世界優良企業厳選ファンドBコース」は、新興国を含む世界各国の株式を投資対象とし、「競争優位性」「構造的変化のインパクト」「経営陣の質」「財務規律」などに着目し、高い成長が見込まれる「最高の銘柄」に厳選投資することをコンセプトにしている。設定日は2024年9月30日だが、設定から約1カ月間(11月8日時点)で純資産残高は389億円を超え、同ファンドに対する期待の高さを感じさせる。

10月22日に発表された臨時レポートによると、9月末時点のポートフォリオの内容は、組み入れ銘柄数21銘柄で上位10銘柄は、「マイクロソフト(米国・情報技術)」「ノボ・ノルディスク(デンマーク・ヘルスケア)」「ASMLホールディング(オランダ・情報技術)」「S&Pグローバル(米国・金融)」「メタ・プラットフォームズ(米国・コミュニケーションサービス)」「サーモ・フィッシャー・サイエンティフィック(米国・ヘルスケア)」「マスターカード(米国・金融)」「ケイデンス・デザイン・システムズ(米国・情報技術)」「LVMHモエ・ヘネシー・ルイヴィトン(フランス・一般消費財サービス)」「ビザ(米国・金融)」となっている。組み入れ銘柄の国や業種が広く分散していることが特徴だ。

ポートフォリオの国・地域別配分比率では「米国」が69.7%とメインではあるが、セクター別配分比率は「情報技術」が30.5%、「ヘルスケア」に20.7%、「一般消費財サービス」に18.6%、「金融」に14.9%と業種分散がなされている。米国「S&P500」であれば、「情報技術」に31.2%となり、2番目の「金融」は13.0%、「ヘルスケア」は11.7%となっている。「S&P500」では「情報技術」の影響度が大きくなっていることに比べて、「野村ブラックロック世界優良企業厳選ファンド」では業種別のウエートもバランスがとれている。この辺りは、米国のハイテク大型株への集中投資に対する割高感の指摘がある中では、分散された安心感がある。

また、10月31日に発表された「足元の投資環境と当ファンドの魅力」というレポートでは、米欧英などの主要国が利下げの動きを継続させる見通しにある中、過去の市場では金利低下局面では成長株のパフォーマンスが良くなっていることを紹介し、同ファンドが厳選して投資する成長株の活躍期待が高まっていることをアピールしている。これからに楽しみの持てるファンドといえるだろう。

執筆/ライター・記者 徳永 浩