今週も注目はやはり大統領選挙です。いろいろな角度から調べ物をしていました。一つ忘れていたな、と感じているのが金利の動きです。

ここにきて米国の長期金利は4.25%を超え4.5%、ゆくゆくは5%になるのではと、様々な意見が飛び交っています。

そこで、大統領選挙によって長期金利はどれほど動いたのかを一度調べようと思い立ちました。

前回の記事はこちら衆院選後の株価は上がる、下がる? 過去10回の選挙結果から今後の見通しを予測

最初のグラフです。

 

1984年のレーガン大統領が誕生した選挙から、今回までの大統領選挙が行われた年の米国10年債利回りの動きを1月から12月までまとめたものになります。

グラフを見ると、大統領選挙があったから金利が上がる、あるいは下がるといったパターンはあまり見て取れないことがわかります。

もう少し現代にフォーカスして見てみましょう。2000年からまとめなおしてみました。

 

興味深いことに気が付きます。今回の選挙がある2024年の金利水準は、2004年、2008年の金利水準に近いのです。つまり、金融危機前と同じ金利水準で長期金利が動いている。

もっと細かく見ていきましょう。たとえば金融危機前の2000年、ITバブルが崩壊した年は、もっと金利が上がっています。

次に、金融危機後を見てみましょう。2012年、2016年、2020年と3回選挙がありました。いずれも長期金利はいまよりもうんと低い水準でした。

そして、2024年の今回は、長期金利が久しぶりに上がり、4%台で推移しています。

さて、もっと現代にフォーカスして長期金利を見てみましょう。金融危機後の2012年からの長期金利の推移をまとめてみました。

 

2009年に景気の底に行き、2012年のオバマ、2016年のトランプ、2020年のバイデンと続く。グラフを見みてみると一つの金利の動きがあることがわかります。

注目は選挙前の3カ月です。8月から10月の動きを見ると、長期金利はどこも上がり気味なのです。そこで、1984年から今回までの選挙戦前8~10月の長期金利の動きを横比較してみると、意外な結果になりました。

 

1984年の数値に表れているように、昔は選挙前最後の3カ月間は長期金利は上がらず、むしろ下がる傾向にありました。

ところが、金融危機後の最後の3カ月は、どれも金利が上がる傾向になった。16年分の結果が出ているわけですから、金融危機を境にしてアメリカの選挙の在り方に構造的な変化が生まれていると言えそうです。