確定拠出年金の出口「60歳」で“資産残高が高い人”に共通するある理由

確定拠出年金(DC)では、「投資教育」が重要といわれています。それまで運用に縁のなかった人が、制度を通して「運用」を経験することになるためです。

特に企業型DCでは、企業(事業主)が制度の実施を決め、運用目標ともいえる想定利回りも決定することから、事業主には投資教育義務(努力義務)が課されています。

DCは金融リテラシーを高める?

企業型DCの投資教育は、制度導入時にはほぼ100%実施されますが、導入後の継続教育対応には濃淡があります。集合研修を定期的に実施する事業主がある一方、資料配布のみにとどめる事業主もあるなど千差万別です。

そんななか、DC経験は「未経験よりも金融面でプラスの効果がある」ことがわかりました(※1)。60~64歳を対象にしたアンケート調査のなかで、DC経験者は金融クイズで高得点になる傾向がありました。

金融に関する簡単な10の質問への回答で、正解が8個以上の人がDC経験者では41%である一方、未経験者は17%となっています。保有資産ごとに区切ってみても、同じ傾向がみられました。DCを通じて提供される投資教育には一定の意味合いがある、といえます。

さらに、DCの投資教育の影響度合いが大きい人(投資教育内容を覚えている数が多い)ほど、60歳時点のDC資産残高が高い、という結果になっています。DC制度を活用した人は老後資産形成ができている、という事実は制度運営を担う運営管理機関として非常に喜ばしいことです。

※1 野村総合研究所「確定拠出年金出口調査2023」