――ユニークなのが投資信託の取扱本数を130本(2024年10月時点)に絞っている点ではないでしょうか。これはなぜですか。
番所 新NISAをきっかけにして初めて投資をする人は多いと思うのですが、そうした方々にとって必要なサービス、受け入れられるサービスは何かというところから考えています。
そうしたときに、他の大手証券会社のように、数千本もの投資信託をそろえることが、投資初心者にとって本当に必要なのかという点を重視した結果です。
インターネットで証券取引の利便性が高まったと言われてはいるものの、正直なところ、証券取引口座を開設して入金し、実際に取引を始めるまでのハードルは、特に初心者にとって決して低いものではありません。おそらく取引画面を開いたところで、何をどうすればいいのか、何を買えばいいのか、ということすら分からないというのが、本音ではないでしょうか。
だからこそ私たちは、ユーザー・インターフェイスをできるだけ簡単なものにするのと同時に、投資信託など取扱商品の本数もできるだけそぎ落として、この本数になっています。
――130本の選定基準を教えてください。
番所 日本国内で設定・運用されている公募投信の本数は、全部で6000本近くあるのですが、これらをカテゴリー分類すると、十数種類まで絞り込まれます。
さらに、そのカテゴリーの中から、投資家から支持され、売れ行きの良いファンドをピックアップしています。
130本もあれば、投信全体の純資産総額の大部分をカバーできている実態もあります。
――今後のラインアップ戦略はどのような方向で考えていますか。
私たちが最も大事にするべきはお客さまの声ですから、もう少し他のファンドとも比べたいという声が増えてくれば、130本よりも増える可能性はあります。
ただ現状は、130本でも多すぎて選べないという意見も少なくありません。
最近「PayPayおまかせ運用」というサービスをローンチしたのですが、多くの反響をいただいています。これは、「収益を重視」「安定を重視」の二択から方針を選ぶというもので、おそらく日本で一番簡単に積立投資が始められるサービスではないかと自負しています。多くの反響に大きな手ごたえを感じている半面、まだまだ「投信を選ぶ」という部分に障壁があることを痛感しています。このようにムダをそぎ落として、届けかたを工夫してお客様のニーズに応えていくのも1つの重要な方向性だと考えています。