◆「均等投資」と「成長コース」の人気を分けた明らかな差

ゆうちょ銀行・郵便局の売れ筋トップ10の5位以下を占めるグローバル・バランス型ファンドでは「JP4資産均等バランス」と「野村6資産均等バランス」それぞれの均等投資ファンドのランキングが上がった。「4資産均等」は国内外の株式と債券に4等分で投資する。「6資産均等」は、国内外の株式と債券とREIT(不動産投信)に6等分で投資するファンドだ。分散して投資する資産が多いほどリスクも分散されて運用成績が安定すると期待される。

実際のトータルリターンは、「4資産均等」が1年で12.94%、3年(年率)で8.39%、5年(年率)で9.18%となっており、これは、「6資産均等」の12.06%、7.01%、7.69%よりも高い水準にある。これに対してリスク(標準偏差)は、「4資産均等」が8.12%、8.2%、7.89%であり、これは、「6資産均等」の7.47%、9.2%、10.41%よりも抑えられている。「4資産均等」の方が相対的に優れた成績になった。「6資産均等」が投資するREITの成績が過去3年、過去5年で悪かったため、REITを持っていない分、「4資産均等」の方が、リスクは低いもののリターンは高いというパフォーマンスになっている。ただ、過去1年間はREITに復調の兆しがあり、「6資産均等」のリスク(標準偏差)が小さくなって、パフォーマンスの格差も「4資産均等」に近づいている。

一方、ランクを落とした「成長」コースは、株式への投資比率が70%程度と高く、その分、高いリターンが狙える半面、価格下落のリスクも高まる。たとえば、「野村世界6資産分散投信(成長コース)」の場合、トータルリターンの1年は16.06%と均等型よりも大きなリターンが獲得できている。3年(年率)10.61%、5年(年率)も11.79%という水準だ。ただ一方で、リスク(標準偏差)は9.89%、10.74%、11.77%と3年以降でやや高くなる。

トータルリターンの水準が優れている「成長コース」だが、売れ筋のランクを落としたのは、やはり8月の市場急落時の落ち込みの大きさがネガティブな印象を残していると考えられる。「野村世界6資産分散投信(成長コース)」は、7月高値から8月安値の下落率がマイナス14.25%だった。これに対し、「4資産均等型」はマイナス11.32%、「6資産均等型」はマイナス9.32%だった。この下落率の大きさが人気を左右しているようだ。ゆうちょ銀行・郵便局で投信を購入している投資家は、株価の下落リスクに警戒感が強くなっているといえるのかもしれない。

執筆/ライター・記者 徳永 浩