投資家からの熱視線は、「配当利回り」によるもの?
ブルームバーグ通信の記事によると、売出割当数に対する需要は、海外投資家が35倍強、国内個人投資家が10倍強、国内機関投資家が20倍強でした。上場前の人気はかなりのものと考えることができます。
人気の背景にあるのは、配当利回りでしょう。2025年3月期の配当は1株40円ですから、公開価格に対する配当利回りは3.3%になります。
また、鉄道会社というと国内需要が中心であり、日本のように人口が減少傾向にある国では、内需関連はどうしても業績面で「弱い」と見られがちです。
ただ、東京地下鉄の場合、いくつかの点で成長ストーリーを描くことができます。
まずインバウンド需要の高まりです。政府目標としては、2030年までに訪日外客数6000万人が打ち出されています。現在の倍の数字です。目標値なので達成できるかどうかは不明ですが、実現した時の業績面へのプラス効果は高いと考えられます。
また不動産事業領域の拡大として、データセンターや物流施設、インバウンド対応のホテルなどへの参画を検討していますし、技術コンサルティング、鉄道運営の研修、鉄道運行管理など海外鉄道ビジネスへの取り組みも推進すると、中期経営計画に示されています。
前述したように、鉄道ビジネスは基本的に内需産業ですが、インバウンド需要の取り込み、海外鉄道ビジネスの取り組み次第では、成長ビジネスに化ける可能性もあり、注目したいところです。